暗剣忍ばす弑逆の儀 (上)
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……今も近くでこちらの様子を伺っている可能性はあるか。出来ればもう妨害はしないでもらいたいものだが……こちらの意思を汲んでもらうにはどうしたらいいだろう。
ああ、普通に沖田に頼めばいいか。余程に距離が離れていたら、俺の魔術の腕だとパスを通じての念話は出来ないが、今は近くにいるから普通に声もなく、仕草もなく、詳細に頼める。
――という訳だ。頼むぞ、春。
――いいですけど。沖田さんにもそのアーチャーさんのいる所が分からないんですけど……?
――なんとかしろ。
――いや無理ですって。気配遮断しながら動き回るのはいいにしても、声とか出したら流石に気づかれますよ!
なんとかしろと言えばスカサハは目の色を変えていたなと思い出す。ついつい困った時に出してしまうようになったフレーズだが、常識的に考えて普通に無理なものは無理だったか。
――……紅い布は持ってるか?
――持ってますけど……。
ちらりとランスロットとアキレウスを見る。フェイクでもなんでもなく、普通に無視されている。彼らほどの英霊を無理矢理に従えるほどの霊基の改竄がなされている弊害だろう。こちらの視線などに気づいて、余計な事はさせないように監視の目は光らせておくのが普通だが、それがない。
ケルト戦士はあからさまに知能が足りていないので警戒に値せず。戦士の肩に手足を縛られたまま担がれているシロウは、無理に身じろぎしてズボンのポケットに指を引っ掻け、そこから紅いバンダナを取り出し地面に落とした。後続の戦士達はそれを平然と踏み、そのまま歩いていく。
――紅ってのは目立つ色だ。今もこっちを見てるなら俺が落としたものにも気づくだろう。それと同色の布を持って春が彷徨けば、よほど察しの悪いサーヴァントでない限り俺がマスターである事は伝わるはず。お前に向こうから接触してくるだろう。
沖田は気配は断っているが、痕跡を残して『誰かがそこにいる』と示す事は出来る。目敏くその痕跡、例えばこれ見よがしに沖田が足跡などを残し、それを発見してもらえばいい。
――分かりました。にしても、よく咄嗟にこんな悪知恵働きますね……。
――小細工をさせたら俺の右に出る奴はそうはいないぞ。
ランスロットとアキレウスを警戒させる罠を、恐らく地形などを利用して即興で作っているであろう弓兵には負けるだろうが。その手のプロフェッショナルを『人類愛』は熱望しております。熱い職場があなたを待っていますよとオリジナル笑顔で告げたかった。
沖田が離れていく。といっても、マスターであるシロウにもその気配は掴めないのだが。
ややあって念話が送られてくる。
――向こうさんから本当に接触してきましたよ!
――ナイスだ。空気が読める手合いで実に助かる。それで、相手
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