暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
暗剣忍ばす弑逆の儀 (上)
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
逃げもした。バラバラに、算を乱して逃亡してはみた。
 しかしシロウを含めた十名の兵士は、至極あっさりと捕縛されてしまう。最速の英霊アキレウスから、ただの人間が逃げ切れる訳もない。まあそうなるだろうなと思った通りの、当然の帰結であった。
 湖の騎士ランスロット――アルトリアの記憶から、ランスロットの面貌をよくよく見知っていたが。こうも捕虜をモノのように扱い、その上で全くの無関心な目をする男ではなかったはずだが。やはりメイヴに召喚されたサーヴァントは、某かの歪みを抱いているものなのだろう。しかし――シロウは違和感を抱いた。

 ――弱い。遅い。本当に奴らはランスロットとアキレウスか?

 無論シロウからすれば格上、自分にとって弱いとは言えない。しかしサーヴァントとしての能力を比較するに、彼らはどう考えてもアルトリアより一枚も二枚も格が落ちている。確かにアキレウスは速いが、それはステータスによるものではなく、逸話や伝承を元にした技能か宝具によるものに見えた。
 思えばマザーベースに攻め寄せてきているサーヴァントも弱かった……気がする。いつぞやの女の劣化英霊とは比較にもならないほど強かったし、理性や知能は確りとしているようだったが。
 敵サーヴァントはザッと数えただけで三十もいたのだ。幾らアルジュナやシータ、スカサハという、トップクラスの火力と対人性能を持つ宝具持ちがいたとはいえ、防ぎ切れていたのは奇跡に近い。というより、幾らスカサハ達が最強に近いサーヴァント達とはいえ同じサーヴァントを多数――それも戦いに特化した戦士のサーヴァントばかりを相手に凌げるものなのか。

 確かにこちらの防備は固いだろう。神代の城に程近い強度と、剣弾を打ち出す殲滅兵器『剣砲』がある。
 兵士達もそれを効率的に運用し、敵雑兵を寄せ付けず、サーヴァントすら迂闊に前に出てこれないようにしていた。
 だが――どう考えてもオカシイ。今更ながらにその事に気づく。弱いのだ彼らは。まるでマスターのいないはぐれサーヴァント並みに。
 サーヴァントがマスターがいないと力を発揮しきれないのは、その存在の規格や仕様がそうだからとしか言えないが、もし新たにケルト軍に召喚された多数のサーヴァントが、それと同じぐらいの霊基強度なのだとしたら……。

 ――睨んだ通り、なんらかの制約があるらしい。

 サーヴァントの大軍を召喚するなどという、聖杯とメイヴの力を掛け合わせた反則があるとはいえ、何もないわけがないとは思っていたが。恐らくメイヴ自身気づいていない失陥があるのかもしれない。
 それを探り当てられれば、まだ状況は改善する、かもしれない。今のアキレウスは、例えるならシロウと契約する前の――マスターがいなかった時のアルジュナと同程度だ。

 ……なんでもいいが、本当に虫けらを見
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ