暗剣忍ばす弑逆の儀 (上)
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逃げもした。バラバラに、算を乱して逃亡してはみた。
しかしシロウを含めた十名の兵士は、至極あっさりと捕縛されてしまう。最速の英霊アキレウスから、ただの人間が逃げ切れる訳もない。まあそうなるだろうなと思った通りの、当然の帰結であった。
湖の騎士ランスロット――アルトリアの記憶から、ランスロットの面貌をよくよく見知っていたが。こうも捕虜をモノのように扱い、その上で全くの無関心な目をする男ではなかったはずだが。やはりメイヴに召喚されたサーヴァントは、某かの歪みを抱いているものなのだろう。しかし――シロウは違和感を抱いた。
――弱い。遅い。本当に奴らはランスロットとアキレウスか?
無論シロウからすれば格上、自分にとって弱いとは言えない。しかしサーヴァントとしての能力を比較するに、彼らはどう考えてもアルトリアより一枚も二枚も格が落ちている。確かにアキレウスは速いが、それはステータスによるものではなく、逸話や伝承を元にした技能か宝具によるものに見えた。
思えばマザーベースに攻め寄せてきているサーヴァントも弱かった……気がする。いつぞやの女の劣化英霊とは比較にもならないほど強かったし、理性や知能は確りとしているようだったが。
敵サーヴァントはザッと数えただけで三十もいたのだ。幾らアルジュナやシータ、スカサハという、トップクラスの火力と対人性能を持つ宝具持ちがいたとはいえ、防ぎ切れていたのは奇跡に近い。というより、幾らスカサハ達が最強に近いサーヴァント達とはいえ同じサーヴァントを多数――それも戦いに特化した戦士のサーヴァントばかりを相手に凌げるものなのか。
確かにこちらの防備は固いだろう。神代の城に程近い強度と、剣弾を打ち出す殲滅兵器『剣砲』がある。
兵士達もそれを効率的に運用し、敵雑兵を寄せ付けず、サーヴァントすら迂闊に前に出てこれないようにしていた。
だが――どう考えてもオカシイ。今更ながらにその事に気づく。弱いのだ彼らは。まるでマスターのいないはぐれサーヴァント並みに。
サーヴァントがマスターがいないと力を発揮しきれないのは、その存在の規格や仕様がそうだからとしか言えないが、もし新たにケルト軍に召喚された多数のサーヴァントが、それと同じぐらいの霊基強度なのだとしたら……。
――睨んだ通り、なんらかの制約があるらしい。
サーヴァントの大軍を召喚するなどという、聖杯とメイヴの力を掛け合わせた反則があるとはいえ、何もないわけがないとは思っていたが。恐らくメイヴ自身気づいていない失陥があるのかもしれない。
それを探り当てられれば、まだ状況は改善する、かもしれない。今のアキレウスは、例えるならシロウと契約する前の――マスターがいなかった時のアルジュナと同程度だ。
……なんでもいいが、本当に虫けらを見
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