暗剣忍ばす弑逆の儀 (上)
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いて来てくれるか?」
「――ご命令を、BOSS」
「自分達はとうにその旗に付き従っております」
なのに、兵士達は。男達はその修羅の道に同道するのに一寸の躊躇いもない。シロウはその男達の面構えを目に焼き付けた。顎を引く。目礼した。
「すまない。……いや、ありがとう。生きて帰るぞ、全員で。必ず」
了解、と兵士達は敬礼する。それが現実的には不可能なのは百も承知。それでも『全員で帰還する』事を命じられたのなら最善を尽くす。
――集められたのは、中軽傷を負って一時戦線より離れ、復帰した直後の兵士達だ。
彼らはほどよく疲労している。傷は治っていても疲労は抜けきっていない。シロウに至ってはこの場で最も疲弊していると言えた。
故に最高のコンディションである。強がりでもなんでもなく、事実として。態と薄汚れた格好をすれば、難民が逃亡生活の末に疲弊しているように見えるだろう。
そうして彼らは地下通路を通りマザーベースの戦線から離れた。反撃の嚆矢として、敵首魁の喉笛を噛み千切るべく。
不幸中の幸いとはならなかった。なるべくしてなった不幸中の不幸というべきだろう。星の巡り合わせが最悪に近かった。
ケルト軍の捕虜となる為に散策していたシロウらが遭遇したのは、よりにもよってアレクセイの報告に名が挙がっていた湖の騎士ランスロット・デュ・ラックだったのだ。しかも常に英雄殺しの槍を携え、警戒している駿足のアキレウスまでいる始末である。
ランスロットの顔、能力、性格をアルトリアの記憶を通して知っていた。そして槍を解析してアキレウスという真名を把握したシロウは、それはもう盛大に顔を顰めてしまったものだ。なんて鬼みたいな面子だよこれは、と。
シロウは眼帯を外していた。自分はケルト軍のサーヴァントと交戦している。フェルグス、ペンテシレイア、ディルムッドだ。彼らからシロウの外見的特徴を伝え聞いていた場合、潜入作戦は破綻してしまう。
故に白髪に右の金瞳、左の琥珀瞳というオッド・アイとなっている。左目はシロウ本来の瞳の色だが、それは単にスカサハに移植された魔眼の虹彩が偶然その色だっただけだ。分かりやすい眼帯を外しており、肌の色が違うから別人と言い張れない事もない。
しかしその左目は、見る者が見れば一目で魔眼と知れるだろう。故に抜かりなくスカサハ製のコンタクト型の魔眼殺しをつけていた。遠坂凛製のそれが使い捨てなのと同じで、こちらも使い捨てである。一度外せば機能しなくなる仕様だ。
「ふむ。またぞろ『資源』が増えたか……」
ランスロットが悩ましげに……運搬の手間に頭を悩ませる素振りで嘆息した。
通過儀礼として抵抗する素振りはした。全力で
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