星々は御旗の下に
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健康法』を用いて『未然に病を防ぎ』! 速やかに患者を癒す! フローレンスのような美女が料理を振る舞ってくれる、これはむさ苦しい野郎連中にとって何よりも『薬効』! 美味しい御飯と手厚い看護があれば『生きる意思が』湧いて出る! 人間は意外と現金なもの、何事も患者が生きようと思わないと話にならん! スカサハの置いていったルーン石も治療に使えるぞッッッ!!」
「……。……? 魔術による治療行為を行えと? 何を言ってるのですドクター、医療行為にオカルトなど必要ありません。全くもう、変な人――」
「馬鹿野郎ッッッ!!」
ナイチンゲールが言い切る前に食い気味に気炎を吐く。もう自分でも何を言ってるか分からない。完全に調子に乗って勢いに乗っていた。
「お前の時代からすれば未来の医療もオカルトみたいなもんだろうが!! 技術の進歩嘗めるなよ!? 俺より先の時代になったらルーンみたいなものに触ったり食べたり空気清浄機にしたりする技術が生まれるかもしれない! それもオカルトだと言って原始的な医療に拘る気か!?」
「いえ、そうは言って――」
「医療者の心得は何がなんでも患者を快癒させて復帰させる事だろうが!! 後遺症も何も、何事もなく治療できるなら手段は選ばない!! いいかフローレンス、至上命題は『治療』だ! それだけを信念にするべきなんじゃないのか!? 下らない固定観念で患者の命を無駄に散らす気か!? 有効ならなんでも使うのが俺達の医道だろう!!」
医道ってなんだよと自分に問うシロウである。
しかしフローレンスは感銘を受けたように目を見開き、ぐわしと両手でシロウの両手を掴んだ。
「――……素晴らしい見解です。ああ、嘆かわしい。私の時代にも、貴方のような名医がいてくれたらよかった」
分かってくれたかと微笑むシロウ。この時既に、自分が何を言っていたかは忘れていた。
何せ極めて疲れている。そして勢いだけでがなり立てただけだ。うんうんとしたり顔で頷いて、ナイチンゲールの感動を受け止めるだけだった。
「ところでドクター、なぜ私をファースト・ネームで呼ぶのですか?」
「異な事を言う。お前も俺をドクターと呼んでるじゃないか。それにこの病院の副院長はお前にする。当然だろう」
「??? ……当、然……? なのですか……」
頻りに首を傾げるナイチンゲールに、シロウは当然ですよと生真面目に返す。これは素だった。
腑に落ちないままのナイチンゲールを送り出して、シロウは額の汗を拭う仕草をする。なんとか乗りきった、手強い敵だった……。
まあなんやかんや、いい戦力が加わってくれた。そしてなんやかんや、いい感じに気の休まる時間だった。仕事に戻ると、ジョナサンはげんなりした顔でシロウを睨んだ。
「閣下……」
「あー
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