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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第一部
第42話 束縛?
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んですよ。謝る必要はありません」
「……分かりました」
???だから、マフィアに入る事は、僕への罰。
“殺し”をしてしまった以上、罰を受けるのは当たり前。
だから、僕はマフィアに入った。
此処で殺されれば、愚かな自分の罪が、全て消えて無くなるかもしれないから。
◆ ◆ ◆
「琴葉様。少しお時間を頂きたいのですが」
「ええ、良いですよ。仁」
黒崎さんを響に預けて、僕は琴葉様の執務室に訪れていた。首領から言われた任務を果たす為に。
僕の任務は琴葉様に残っている記憶を探って、上手くそれを奥底まで落とす事。そうすれば、簡単に記憶は戻らなくなる。
如何にか、上手い事出来ると良いけど。
「黒崎要の事なのですが……」
「嗚呼、彼ですか……不思議な人ですよね。しっかり私を見て居る様で、見ていない。まるで、“記憶が消される前の私を見て居る”様な」
早くも思い出し始めて居る……と言う訳では無さそうだ。琴葉様は勘が冴えて居る為、パッと言った事が当たる事も少なくない。今回もきっとそれだ。
そうじゃないのだとしたら、琴葉様の記憶の確認は、僕の手では不可能だ。逆に封じ込めた記憶を解放させてしまう。
「……真逆。と言うか、記憶改変の前の記憶を探して居ると、また頭痛が来てしまいますよ。あまり考えない方が良いかと」
「それもそうですね……考え無い様にしておきますね。考え過ぎて薬を大量に飲むのも嫌ですし。……って、痛っ」
「琴葉様っ??」
急に琴葉様は指を押さえ、持っていたカッターを机に落とす。指を押さえる手の隙間から血が流れ出て居る辺り、指を切ってしまったのかもしれない。
「……大丈夫です。少しカッターで切ってしまっただけです」
「すみません。僕がずっと話していた所為で……傷を見せて頂けますか?」
「否、大丈夫です。絆創膏を貼っておけば治りますよ」
「駄目です」
「大丈夫です」
「駄目です」
「大丈夫です」
……このままでは埒があかない。
「あ、琴葉様。肩に虫が」
「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ?? 仁っ! と、取ってくださいぃ!!」
「はい、捕まえた」
琴葉様は虫が苦手だ。だから、こう言えば直ぐに動揺してくれる。
なので、直ぐに血が出て居る方の手を掴んで、消毒をしてからポケットから包帯を取り出す。そしてくるくるっと簡単に止血して、治療完了。
「仁! 騙しましたね??」
「良いじゃないですか。響は良いのに、僕は駄目ですか?」
「うっ……分かりました。許しましょう」
「有難う御座います」
ちょろい。
流石に、こんな軽く許可を出してくれるのは
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