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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第一部
第42話 束縛?
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に頭ぶつけてきた??」
「ぶつけてません! ただ、私も響も昔に比べて背が伸びたので、肩車して貰えば天井に手が届くかもしれないんです??」
「子供かよ……届かねぇだろ、普通」
「ちぇ……メイドと言っても、全ての命令を素直にやってくれる訳では無いんですね。まぁ、こうやって砕けた口調で話している時点で、私のお願いを拒否する権利が響には有りますからね。冷静な判断、お見事です」
「否、誰が如何見たって分かるだろ」
「はい。私も淡い期待は有りましたが、残りは全部冗談のつもりで言ってますから安心して下さい」
「何割位期待してた?」
「九割位です」
「バリバリ期待してんじゃねぇか」

目の前で響君と琴葉が仲良さげに話しているのを見て、少し嫉妬している自分が居るが、今はそれ以上に自分のした事に腹を立てていた。

昨日の夜、僕は琴葉の心臓の部分を、銃で撃ち抜いた。
その後、琴葉はマフィアに運ばれ、禁忌の魔法に因る治療を受けたらしい。

その時に、琴葉は第一魔法刑務所に居た頃の記憶を、全て消されてしまったのだと言う。
詳しく言えば、完全に消したり、微妙に残したりして封じ込んだりして、マフィアで活動するのに不必要な記憶を、全て消した様にしたらしい。

だから勿論、琴葉は僕の事を覚えていない。

もし、琴葉を撃ったりしなければ。
琴葉ちゃんをマフィアから解放させてあげようなんて、幼稚な考えをしなければ。


琴葉は、またいつもの笑った顔を見せてくれたかもしれないのに。
僕の事だって、囚人君達の事だって、覚えていてくれたかもしれないのに。


「……要さん? 顔色が優れない様ですが、具合でも悪いのですか? 一応、もう少しで私の執務室へ着くので、マフィアに入る決断や、湊さんと会話をして疲れているでしょうし、お昼の間は何もしないで、夜にお仕事をする事も出来ますよ? 死と隣り合わせの仕事に就くのはかなりの覚悟が必要ですし、湊さんと会話するのも、たかが会話なのに、大きなプレッシャーが掛けられるとか、心理戦の様な駆け引きとかがありますからね。疲れるのも当たり前です」

嗚呼、いつもの琴葉じゃない。
いつもなら僕の事なんて気にも掛けなかったけど、今は心配までされている。とても嬉しい事なのだが、これはいつもの琴葉じゃない。

「琴葉……ごめんね」
「如何しました? 要さんが謝るような事、何かありましたっけ?」


正解が分からない。

せめてもの償いとしてマフィアへ入ったが、琴葉は僕の罪が分からない。

だから、僕の罪を償う事は不可能。


「それに、何か謝る事があったとしても、今私に心当たりが無いって事は、大した事じゃ無い
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