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ある晴れた日に
29部分:噂はそよ風の様にその六
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噂はそよ風の様にその六

「喧嘩はやるからには容赦しない主義だからな」
「そうね。そんな奴放ってはおけないわよね」
「右に同じ」
 静華と凛も野本と同じ考えだった。
「っていうかマジでいて欲しくないし」
「キモいわよね」
「そんな奴がいるの」
 奈々瀬は顔を俯かせて暗い表情になっていた。
「若しそれが本当だったら」
「大丈夫よ」
 不安になる奈々瀬を未晴が落ち着かせようとそっと声をかける。
「噂よ、噂」
「噂なの」
「だから大丈夫よ」
 こう言うのだった。
「気にしないでね」
「ええ」
 未晴の言葉にとりあえずは落ち着きを取り戻した奈々瀬だった。
「そうよね、噂よね」
「そういうことよ。だからね」
「本当かどうかもわからないし」
 今の奈々瀬の言葉は自分自身に向けての言葉だった。
「今は心配することないわよね」
「ええ、そうよ」
「大体よ」
 春華も奈々瀬を気遣って言う。
「リアルでそんなキチガイそうそういねえって」
「そうだよな。おいそこのデブ」
 野本は竹山に顔を向けて声をかけた。
「御前そういうののデータは持ってねえか?」
「君があれだっていうことを証明するデータなら持ってるけれど」
「それが親戚に言う言葉か!?」 
 今の竹山の言葉には流石にすぐに怒った。
「あれって何だよ、あれってよ」
「気にしないでも自分でわかってると思うから言う必要ないんじゃないかな」
「こいつ、何処までもひねくれてやがるな」
「あんたが悪いよ」
 怒る野本に恵美が突っ込みを入れる。
「いきなりデブはないんじゃないの?」
「俺が悪いのかよ」
「そうよ。だから諦めなさい」
「くそっ、入学してから何かボロクソだぜ」
 それが自分のせいだとはどうしても思いたくない野本であった。
「まあいいさ。それで親戚よ」
「うん」
 こう言うと素直に言葉を返す竹山だった。やはり悪口は何の得にもならない。身を以って思い知らされる野本であった。三歩歩けば忘れてしまうにしろ。
「そういうデータあるか?キチガイのよ」
「サイコパスっていうのかな、それって」
「サイコパス!?」
 野本の知らない言葉だった。
「何だそりゃ」
「だからキチガイのことだろ」
 横から春華が言う。
「話の展開でわかるだろ。御前それ位勉強しろよ」
「ちぇっ」
「つまりサイコパスっていうのはね」
 また言われた親戚をよそに竹山が皆に対してそのサイコパスについて説明をはじめる。
「悪事を働いても何も思わない人のことを言うんだよ」
「リアルでそんなのいるのかよ」
 春華がそれを聞いて最初に顔を顰めさせた。
「人格障害者の一種でね。他人を傷つけても何とも思わないし」
「おいおい、最悪じゃねえか」
「何だよそれ」
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