第三百六十五話 寿司その三
[8]前話 [2]次話
「お寿司じゃないわね」
「別の何かですね」
「これはお握りよ」
イギリスの天握りはそれだというだ。
「既にお寿司じゃないわ」
「どう見てもそうですね」
「形もね」
「お握りにしか見えないですから」
「これをお寿司で出したら」
順子はさらに言った。
「お寿司屋さんは潰れるわね」
「うむ、寿司は難しい」
今度は鳳鳴が言い切った。
「お茶、飯炊き、握りでそれぞれ三年ずつだ」
「九年ですね」
明日夢は鳳鳴に生蛸を出し鳳鳴も礼を述べて受け取った、見れば明日夢は鳥貝の握りを食べている。
「合わせて」
「それだけかかるのだ」
「我が国のシェフもそれだけ修行しているよ」
「寿司のか?」
鳳鳴はエドワードにかなり真剣に尋ねた。
「本当にそうなのか」
「勿論だよ」
「私からも言うわ」
サテライザーも参戦してきた、鰻を食べつつ。
「イギリス人のシェフは真面目に作っているわ」
「真面目にですか」
「マクドナルドでもよ」
穴子を食べつつ言うカホに真顔で答えた高尾t場だ。
「真剣よ」
「ではお寿司もですか」
「本当に真剣だから」
「根本から何か間違ってるんじゃないのか?」
「そうだよな」
武藤と不知火はそれぞれ海老と河豚を食べて話している。
「イギリスの料理ってな」
「味付けとか盛り付けとかでな」
「というか本当にまずいからね」
理子は鰯を食べつつ話した。
「イギリスのお料理って」
「そう言うの?」
「お寿司もね」
サテライザーにもこう返した。
「まずいわよ」
「そう言われるのがどうも」
「というかお寿司は日本」
康太は秋刀魚の握りを食べつつ言い切った。
「同じ島国でもイギリスのそれはお寿司じゃない」
「全員で否定されるな、そんなに駄目かよ」
流石のイギリスも遂に弱りだした。
「俺はお寿司も」
「だからもう諦めて普通に寿司食ってろ」
フランスがそのイギリスの肩を叩いて彼に声をかけた。
「これからもな」
「これからもかよ」
「お前は料理のセンスがないからな」
このことを自覚してというのだ。
「いいな」
「駄目出しかよ」
「それ以外の何だってんだよ」
「くそっ、じゃあ食ってな」
遂に実際に諦めてだ、イギリスは鉄火巻きを手に取った。そうしてそれを食べつつこんなことも言った。
「飲むか」
「飲むのは何だよ」
「寿司に合う酒はな」
それはと言うのだった。
「日本酒だよな」
「まあそうだな」
「それを飲んでな」
そしてというのだ。
「それを飲んでな」
「嫌なことを忘れるんだな」
「そうするからな」
「ああ、じゃあな」
すぐにだ、イギリスに洋が言ってきた。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ