絶対■■戦線フィランソロピー
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を強化する楯、それらを担い手ごと共鳴させる楯。それらが揃えば、さしものアルジュナの奥義も防ぎ切られてしまうか。そう考えるシロウの判断は一瞬の逡巡も経ない。ジョナサンを一瞥した。
「――東部基地部隊長のエドワルドに早馬を出せ。東部基地のアルジュナを北部への援軍に回す。アルジュナの抜けた穴を埋めるのに、マザーベースからスカサハを回して対応しよう。結界の修復もスカサハにやらせるが、あくまで東部は防戦に徹するように。南部基地部隊長のヘルマンにも伝令だ。東部基地へ二百ほど剣弾の蓄えを吐き出せ。補填はするが、明日まではない」
「サー・イエス・サーッ!」
「春」
「はい」
ジョナサンがシロウの指示に応えて指令を出す。本営内の兵士達が忙しなく動き出していた。
それを尻目に、今まで自身の三歩後ろに控えていた少女へ、シロウは鋭く単眼を向ける。
爛々と輝く強靭な意思の煌めきに、沖田は臆する事なく冷静に、平静そのままに応じた。
「ネロと共に東部戦線に迂回しながら向かえ。ネロは皇帝特権で気配を消せる。お前も気配を遮断して敵軍の背後にネロと回り込み、旗を使って襲撃しろ。それに合わせてスカサハも打って出るように因果は含めておく。出来うる限り迅速にやれ、東部が保つかはお前達の働き次第だ」
「承知しました。吉報をお待ちくださいねっ」
沖田はうきうきしながら本営から飛び出していく。活躍してマスターを喜ばせてあげますから、なんて。場にそぐわぬ足取りだ。
それに一瞬だけ微笑を溢したシロウだが、すぐに領袖としての顔に戻る。沖田と入れ替わりで本営に入ってきたスカサハに彼は命じる。
「――以上だ。赤枝騎士団を撃破し次第お前も春を連れて北部へ向かえ。東部にはネロを残せばいい。アルジュナ、シータと協力してサーヴァントへ対処しろ」
「うむ、拝承した。中々の戦だ、存分に槍働きを魅せてやるとしよう。――しかしよいのか、マスター? 南部と西部の敵は薄いが、この城の予備戦力を回せばマザーベースの守りが薄くなろう。サーヴァントを一騎も残さずにおれば、アサシンの暗躍を潰せぬぞ」
「アサシンがいたとして、出来る事は少ない。気づかれもせずに、城を護る結界の要石を破壊出来ない仕掛けがあるんだ、なら狙うとすれば《《これ》》しかない」
スカサハの懸念に、シロウは鼻を鳴らして手刀で己の首を叩いた。
「簡単に殺られるタマに見えるか、俺が?」
「……ふ、令呪を使うだけの間を保たせられるなら、確かに要らぬ心配であったか。では私も往く、出来る限り早く戻ろう」
「そうしてくれ」
不敵に嘯くマスターにスカサハも笑い、二本の朱槍を手に出撃していった。それを見送る視線を切り、シロウは考える。
メイヴは本気で『人類愛』を潰そうとはしているだろう。しかし全力ではない
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