実働開始だよ士郎くん(下)
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代わって仕事の出来る部下を育て、そちらに投げた。付け焼き刃だがな。その者らを総括して修正を加えるなどの判断を下すのが余の役割である。故に纏まった時間を作り出せたのだぞ。練兵は専らスカサハめが担当すると申し出てきた故な」
「流石皇帝……如才ない」
「ふっふっふ、もっと誉めるがよい! それはそれとして、そのスカサハがマスターを探しておったぞ。こう、鬼のような顔で『あの馬鹿マスターはどこだ!? 訓練から逃げるとは腑抜けたか!』とな」
頭に両手を当て、人差し指をたてて鬼の角を模したポーズを取ったネロに苦笑する。いちいち身振りがあざとくて可愛いな、おい。口調も真似てるが全然迫力がない。
スカサハが俺を探してる。ふ、知ってるさ。だって逃げたんだからな。腰抜けとか誰にも言わせないぞ。
なぜかは知らないが、今まで特に抵抗感はなかったのに、最近は鍛練と聞くと無性に体が震えるのだ。首が涼しくなったり、全身が焼け爛れたり、消し飛んだり、心臓の風通しがよくなったり、息苦しくなったりする気がして、率直に言って吐きそうだ。
鍛練とか嫌だよ、もういいよ。俺個人が強くなる意味なんてないんだから。指揮官として、マスターとして、兵士とサーヴァントを指揮すればいい。そしてたまに爆撃すればいい。今更サブカルチャーの主人公ばりの修行パートとか誰が得をするんだ。見てうんざり聞いてうんざり察してうんざりである。
「見つけたぞ、マスター」
「あっ」
噂をすれば影という。影の国の女王は噂をすると出くわす仕様なのか。三国志の曹操もびっくりの出現速度である。
背後に感じる凄まじい怒気。荒御魂も斯くやといった本来は神霊であるスカサハの王気。俺はフッと涼やかに笑む。
「ネロ」
「うむ」
「……Help me」
「I’m sorry, I’m busy right now (すまぬ。今は少し忙しいのだ)」
お前今暇って言ってませんでしたかね!? 纏まった時間があるって言ってましたよね!?
ぐわしと首根っこを掴まれる。抗えぬ膂力の差に泣きたくなる。うわぁ、嫌だぁ! そんなふうに喚いた気がしたが慈悲はなかった。
ずるずると引き摺られていく俺に、ネロは指先で涙を拭う素振りをしながら手を振って、「どなどなどーなーどーなー売られてゆーくーよー」と歌い始めた。
やめろー! というか音痴のくせしてそんな歌だけ上手いとかふざけてんじゃ――えっ。影の国の門番の竜種を召喚した? 倒せ? それどう見ても成体の竜ですよね千歳越えてますよね勝てる訳が――負けたら男じゃないから去勢する? ……馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前ぇ!!
あっ。開幕竜の吐息とかやめろゴラァ! 竜殺し宝具連打してぶっ殺してや――投影宝具の投射禁止? 何それ
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