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人理を守れ、エミヤさん!
実働開始だよ士郎くん(上)
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ったら出来るんだ?」
「私とマスター、マスターとカルデア、私とセタンタの間にある『縁』を利用する。お主がカルデアで言うところの『意味消失』をしておらんという事は、最低限の繋がりは残っておるのは自明であろう? 繋げるだけなら今すぐにでも出来る。出来るが……」
「通信が成功するかどうか、したとしてもこちらがそれを把握出来るかどうかは分からない?」
「その通り。とりあえずやってみるか?」
「ああ。やるだけやってみよう」
「と言っても長時間通信を繋げておくのは無理だぞ。私のルーンにも強度があるからな。あんまり長くは保たん」

 そう言うと、スカサハはまたもやルーンを刻んだ。俺と自分、それから周囲の空間、俺の腕に巻き付けてある通信機に。
 相変わらずのルーン無双だ。真剣にルーンを身に付けたい。が、無理だと太鼓判を押されている。
 まあそれはいいが。とりあえず通信機の電源を入れる。バッテリーは運動エネルギー、太陽光などで充電されるので問題なく使用できた。
 ……もういいのか? 視線で訊ねると、スカサハは頷いた。本当に繋がっているのだろうか……。半信半疑になる程度には、なんの変化も感じない。
 とりあえずバンダナは外した。向こうにこちらの姿が見えた場合、余り心配になるような外見的特徴はない方がいいだろう。それで、喋ってみた――が、眼帯はしたままなのに気づかない辺り、俺も眼帯をしているのが当たり前なぐらい、すっかり慣れてしまっていたのだろう。

「……こちら、衛宮士郎だ。聞こえているか?」

 当たり前のように反応はない。

「……ダメだな、聞こえない。一方通行なのか? まあ……いいか」

 独り言みたいで、なんだか情けない気分になってくるが、なんとか続ける。

「一応カルデアにこちらの音声が届いているものと仮定して、報告はしておく。俺は今のところは無事だ。が、どうにもこの特異点はオカシイ。カルデアの通信機にある時計の進み方と、こちらで体感している時間の流れに大分差がある。俺の体感では既に半年は経った」

 はて、と首を捻った。半年だろうか? そんなにはまだ経っていない気もする。 

「いや、五ヶ月か? まあ……そこらはいいか。通信限界時間はすぐそこだ。……俺は世界の異常には敏感な質でな。念のため自身の感覚を正常にするために様々な手段を講じた。結果、俺の体感時間と特異点内の時間に差はないと判断した。

 カルデアとの時間差についてだが、この特異点内は外との時間の流れにズレがあるらしい。そちらの時間で言えば二日でこっちは十年が経つか? あて推量だから正確には知らん」

 二日で五年だ、馬鹿者とスカサハが呟く。
 ん? どんな計算だろうか……。一定周期で時間の進み方が乱数にでもなっていて、それをスカサハは知っている……
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