実働開始だよ士郎くん(上)
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を実行可能とし、同時に人手不足と難民の保護を両立させる一石二鳥な狙いだ。
スカサハの見立てだと、俺の求める水準に兵士達が至るには、最短で半年掛かるらしい。……半年? 早くない……? ケルト式スパルタ訓練によって、脱落を許さず速やかに鍛え上げる、極悪人すら更生する過酷なカリキュラムが組まれているのを知った俺は、兵士達の冥福を祈っておいた。
そこまで来るのに二ヶ月掛かった。その間に兵士の訓練を除く全てを成したのだから、スカサハの過労死寸前の様子も納得である。特別に一日休んでいいよと言ったら、何故か救い主を見たような顔をされた。
いや、その労基も糞もない環境に叩き落としたの、俺なんですが。なんか凄い罪悪感の湧く表情はやめていただきたい。
しかしスカサハは骨の髄まで社畜となってしまったのか、休めと言われて「休む……? 休むとは、なんだったか……。寝ていればよいのか?」と返してきて思わず涙を誘われた。
「すまん。本当に心からすまん!」
「? 必要だったのだろう。お主が謝ることはない。最初の一ヶ月ほどは恨んでいたが、その後は清々しい気持ちで働けた。うむ、寧ろ感謝したいほどだ」
「……!」
「な、なぜ咽び泣く? なに? 『折角魂から腐敗が消えたのに、変な根性注入してすまない』? 何をワケの分からぬ事を……私に妙な根性を埋め込める輩などおるものか。はっはっは……だから泣くなというに」
心からの本音でそう言われたら、流石の俺も己の罪深さに心が折れそうになった。
しかしそこは鉄の心。気を取り直すのに五秒。俺はどうしても働きたい、働いておらねば落ち着かないらしいスカサハに仕事を任せることにした。しかし仮にも休暇中、体力の使わない仕事にする程度の気遣いはする。流石にその辺は理想の上司だ。
「忘れていたが、カルデアと通信が取りたいんだが、なんとか出来るか?」
「なんとか……?」
そのワードに、何か妙なスイッチが入ったらしい。目の色が一気に澱んだ。す、スカサハだいーん!
「……ふむ。……うーん」
所は俺の居室。神代の城並みの防備を誇る『マザーベース』の宮殿内。寝台に腰掛ける俺の前で、腕を組んでスカサハは唸りはじめた。
なおそのスカサハ、痴女一直線な格好から、『人類愛』の軍服に変更されている。市民の皆さんと兵士の皆さんに刺激が強すぎた為だ。なのでまさに美貌の女教官に見える。麗しの女軍人……薄い本が厚くなりそうである。
スカサハは暫くうーんと呻きながら考えを纏め、俺に視線を戻した。
「出来なくはない事もないかもしれん」
「曖昧だな」
「うむ。何せ特異点外部と内部の時間の差がアレな感じだからな。仮に上手くいったとしても、こちらでは成功したかどうか判断が出来ぬ」
「そうか……ちなみにどうや
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