ゲリラ・オブ・ゲリラ
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る気かは知らないが、小細工はさせない。理想王ラーマは今度は自分から仕掛けるべく四肢に力を込め、ランスロットは嘯いた。
「流石の私であっても理想王ラーマは手強い敵だ。故に――」
「往くぞ、湖の騎士よ……!」
「――来援感謝する、弟よ」
「ッッッ!?」
瞬間、ラーマの肩に灼熱が奔る。悪寒が過り、身を捻っていた故に心臓を穿たれなかったが。
それは《背後からの奇襲》だった。
「ぐァッ!」
槍の穂先が後ろから左肩を貫き、直後、横腹を凄まじい威力の蹴撃が抉っていた。
吐瀉を吐き散らし吹き飛んだラーマは、地面を削りながらなんとか体勢を整える。そして不滅の刃を構えて追撃に備えた。だが追撃はない。現れた二騎目の敵サーヴァントは、ランスロットの横に移動していただけだった。
「よ、来たぜ兄貴」
その槍兵は俊敏な体の動作を阻害しない、黄金の鎧を纏っていた。孔雀のような羽飾りのあるコリュス式の兜を被り、重厚な丸楯を左手に持っている。
鋭利な長槍は英雄殺しの槍。視界に映る全てを間合いとする彼は、遠くに戦闘に移った兄を見掛けて駆けつけたのだ。
彼の真名はアキレウス。トロイア戦争最強の大戦士にして、メイヴが召喚したサーヴァントの中でも最強を誇る存在。此度の強制召喚ではエクストラクラスの盾兵として召喚されていた。
「貴卿の任務は?」
ランスロットは淡々と訊ねるもその声音には抑える気のない親愛が滲んでいた。手の掛かる弟に対する兄のような態度で。それにアキレウスも満更ではない。アキレウスは弱者を兄と敬う気はないが、自分より先に産み出されたサーヴァントの中で、彼だけを兄と呼ぶほどに認めていたのだ。
何せ彼の聖剣は神造兵装。アキレウスを傷つけられる武器。そしてその剣腕もまた、最強を自負するアキレウスが称賛出来る領域にあった。その知略、武力、精神性、兄と呼ぶのも吝かではない。
「俺は遊撃だ。見掛けた虫を潰すのが仕事で、兄貴みてぇに回収と統率は任されてねぇ」
「それは勿体ないな。貴卿の指揮の手腕も高いものだというのに。尤も、私はその遊撃に貴卿が就いていた故に助かったのだが」
「その貴卿ってのやめてくれ。ムズムズしちまう。んな事より、兄貴が助かるっつう相手は何者だ? まさか俺の槍を躱しやがるとはな」
「ラーマだ。愚かにも自分から名乗ったぞ」
「……へえ? あの理想王……なるほど、この虫は多少骨のある虫だったか」
面白そうにアキレウスは嗤う。獰猛に槍と楯を構えて発される武威に、ラーマは歯噛みした。
ランスロットだけでもかなりの難敵であったのに、そこに凄まじい速力を持つ槍兵が加わったのだ。圧倒的な不利である。しかし幸いなのは、その黄金の鎧を着た戦士は、どうにも一人で戦おうとしている事だったが――その希望
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