ゲリラ・オブ・ゲリラ
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らおう」
「痴れ言を……よからぬ儀に利用せんとする魂胆が透けて見えるぞ。さぞ名のある騎士と見受けたが、騎士としての誇りがあるのなら民を解放し去れ!」
「騎士としての誇りがあるなら? ――戯れ言を。私の振る舞いこそ女王の思し召しである。私への侮辱はそのまま女王を愚弄する事になる。その罪、死して償うがいい……叛逆者よ」
「叛逆者だと? 余が――?」
「――『無毀なる湖光』」
その真名を解放する寸前に、宝具『己が栄光の為でなく』が解れる。赤毛の少年は目を見開いた。
彼の主観で突如として槍が長大な剣となり、しかもあまりにも莫大な魔力を放っていたのだ。澄んだ湖の如き魔力が彼の逆袈裟からの斬撃により迸る。
軍勢を薙ぎ払う静謐な蒼き斬撃の濁流。視界を埋め尽くす光の壁を、少年は咄嗟に斬撃の軌道上より回避して、瞬時に反撃に出んとするも。
消えていた。
兵隊を残して、漆黒の鎧に純白のマントを羽織っていた騎士だけが消えていた。
何処へ――四方に視線を走らせるも姿が見えない。しかし怜悧な殺気が首を過った気がした。本能的に屈んだ少年が、直前まで首のあった所へ聖剣が通りすぎた。
「むんッ!」
「……!?」
対軍宝具を目眩ましに使用した直後、姿を隠蔽する宝具を刹那の間に使用する切り替えの早さ。それは少年をして戦慄させるに足るもので。武の祝福を宿す少年は屈み様に片手を地面につき、体を支えながら蹴撃を騎士へと見舞う。
これに騎士は腕の籠手で応じる。易々と防ぎ、少年の矮躯を反撃の刃で両断せんとした。切り返しの早さが尋常ではない。なんとか真紅の剣で防いだ少年は飛び退いて、怒りに燃えて騎士を糾弾した。
「卑怯者め! 姿を隠して不意を突かんとするとは、貴様はそれでも騎士か!?」
「……まだ口を開くのか。羽音が不快だが……その武を讃え今一度答えよう。騎士が誇りとすべきは主君の命を果たす事のみ。それ以外は無用である」
「ばかな……貴様ほどの……湖の騎士ともあろう者が、主の行いを正そうともせずに諾々と従うだけだと!? その知、その善の道を極めた武が泣いているぞ!」
「……なに?」
アロンダイト。騎士はその聖剣の真名をそう言った――であればその真名は決まっている。
円卓最強の誉れも高き、伝説の聖騎士である。少年は彼ではない何者かへと怒りの矛先を定める。何故なら、
「余には伝わったぞ……貴様は苦しんでいるな。主とするものに洗脳でもされているとしか思えん。ならば、このラーマが貴様を苦しみから解放してやる……!」
「……彼の理想王ラーマか。みすみす真名を晒すとは、愚かな」
鼻を鳴らし、ランスロットは聖剣を構えかけ……しかし剣を下ろした。ラーマは訝む。またしても不意打ちを行う気かと。
どうす
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