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レーヴァティン
第百二話 王国への包囲網その十

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「それは」
「ああ、あのままだとな」
「王都の上の兵達の士気が落ちきるでござる」
「近いうちにな」
「そうなるからでござる」
「近々来るか」
「しかも」
 進太はさらに話した。
「夜明け前でござるな」
「一番暗くてあと少しだって思ったな」
 朝、その時になるからだ。気が抜けてくるというのだ。
 それでだ、その時にというのだ。
「そこにだな」
「来るでござる」
「そうだよな、じゃあな」
「備えておくでござる」
「ああ、じゃあな」
「数日中に決着をつけるでござる」
「それじゃあな」
 久志も頷いた、そうしてだった。この日から夜襲に備えて見張りの兵を増やしてそのうえでだった。
 武器の手入れもこれまで以上に徹底させた、そうして夜は早く眠らせた。そして酒も控えさせて自分達も飲まなかった。
 そしてだった、三人で話した五日後にだった。
 夜明け前にだ、ふとだった。
 眠っていた久志のところに兵が来て言ってきた。
「王都が動きました」
「開いたか」
「音はしませんでした」
 それはというのだ。
「全く」
「じゃあか」
「はい、秘かに城壁から軽装の兵達が降りてです」
 そのうえでというのだ。
「こちらに闇夜に紛れて」
「来ているか」
「そうしています」
「そうか、じゃあな」
「ここは、ですね」
「全軍迎撃だ、敵がな」
 久志は起き上がって上着を着つつ話した、見れば寝ている時もコートとブーツ以外はそのままで何時でも起きられる様にしている。
「鉄砲の間合いに入ったらな」
「そこで、ですね」
「撃て」
 一言で述べた。
「一斉射撃だ」
「そうしてですね」
「いきなりな」
「敵の出鼻を挫いて」
「そこからさらに攻めてきてもな」
 相手がそうしてきてもというのだ。
「鉄砲とパイクでな」
「防ぐわね」
「ああ、後な」
「後?」
「いや、城からうって出るだけじゃなくてな」
 久志は今度は自軍の陣地の後ろを見つつ述べた。
「後ろからもな」
「攻めてくるかもっていうのね」
「囲んではいるさ」
 王都、そこをというのだ。
「それで警戒しているけれどな」
「ああ、私達の知らない連絡ルートがあって」
「外にいる連中とも連絡を取っていてな」
 そうしてというのだ。
「その夜襲の時にな」
「王都からだけじゃなくて」
「外からもな」
 そこからもというのだ。
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