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レーヴァティン
第百二話 王国への包囲網その九
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「私の考えは今回もね」
「何かお前心理戦好きだな」
「いや、相手も人でしょ」
「人ならか」
「人には心があるから」
 それ故にというのだ。
「それも攻めるってことよ」
「それで勝つか」
「人を攻めるなら」
 それならというのだ。
「その心もね」
「攻めて勝つ、か」
「そうよ。どんどん仕掛けていきましょう」
「城を攻めるよりもか」
「心よ、そうして勝っていきましょう」
 こう言ってだ、清音は実際に他の者達が攻めて都市を陥落させる度にわざとそれを兵達に陣中で大声で言わせた。
 それでだ、その声を聞いてだった。
 そのうえでだ、城の方を見るとだった。
「兵の士気はどんどん落ちてるわね」
「歩くのが遅くなってるな」
 久志は城壁の上を歩く彼等の姿を観て清音に応えた。
「そうだな」
「槍を持つ姿もね」
「元気がなくてな」
「背中が丸くなってきてるでしょ」
「明らかにな」
「ええ、士気が落ちてるわ」
「攻められないしな」
 久志は自軍が王都の方に向けて築いた柵と堀も見て述べた。
「あれもな」
「ええ、隔離していることを見せているからね」
「敵の士気を削いでるんだな」
「見せているだけでね」
「そう思うと築いてよかったな」
「夜襲も防いでくれているでござる」 
 進太も言ってきた。
「あれを見せているだけで」
「そうだよな、攻められなくてな」
「外から味方が減っていると聞き続けてな」
「尚更でござる」
「士気は落ちていくな」
「徐々に」
「さて、その王弟がどうしてくるか」
 主戦派で今回の状況の原因となった彼がというのだ。
「敵の顔をまだ見てないけれどな」
「会っていない人でござるが」
「ああ、どうしてくるかな」
 会ったことがない、即ち知らない者だがというのだ。
「一体」
「とことんまでの実戦派なら」
 清音は王弟がそうした者であると仮定してそのうえで久志に述べた。
「乾坤一擲でね」
「自分の軍勢の士気が落ちきる前にか」
「そうなるまでにね」
「仕掛けて来るか」
「そうしてくるでしょうね」
「柵と堀があってもか」
「あえてよ」
 そうした自分達を阻むものが目の前にあろうともというのだ。
「そうしてくるでしょうね」
「そうか、じゃあ夜襲か」
「今の私達はお昼に攻められないでしょ」
「ああ、ここまで守りを固めてるんだ」
 柵と堀だけではない、久志は兵達がパイクや鉄砲を構えてそうして王都の方を見ているのを見て話した。
「それじゃあ昼に攻めてきてもな」
「絶好の的でしょ」
「そうだな、じゃあな」
「来るとしたら夜よ」
「そうだな、それも散兵と騎馬を使って」
 そしてというのだ。
「乾坤一擲の勝負を仕掛けて来るな」
「本当に全部駆けたね」

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