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戦国異伝供書
第三十九話 信濃守護その九

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「一段と逞しい顔になったのう」
「そうでしょうか」
「良い顔になったわ」
 こう弟に言うのだった。
「これまで以上にな」
「左様ですか」
「その顔を見れば祖父殿も喜ばれるわ」
「ですか、では」
「久し振りに家族で話そうぞ」
 こう話してだ、そのうえで。
 幸村は十勇士達と共に飯を食ってからその後で兄に案内される形で実家でもある上田城に向かった。その時にだった。
 甲斐では晴信は笑みを浮かべてこんなことを言っていた。
「さて、源次郎は今頃な」
「上田にですか」
「着いてじゃ」
 それでとだ、彼は山縣に答えた。飯富の弟である彼に名家山縣家の格を与えてその様に名乗らせているのだ。
「そうしてじゃ」
「城にですか」
「入ってじゃ」
 そうしてというのだ。
「それからな」
「話をはじめていますか」
「真田家の者達とな、それでじゃが」
「それでといいますと」
「真田家の者はどの者も出来者達という」
 笑みを浮かべてだ、山縣に言うのだった。
「ならばな」
「真田家が当家に加わればですか」
「それも大きい、人は城でじゃ」
 晴信はこうも述べた。
「石垣、堀じゃ」
「まさに人こそがですな」
「最も大事であるからな」
 だからだというのだ。
「是非じゃ」
「真田家の方々をですか」
「皆当家の家臣に加えてな」
「そのうえで」
「働いてもらいたい」
「左様ですか」
「信濃を手に入れてな」
 そしてというのだ。
「その全てを治めることにもじゃ」
「働いてもらいますか」
「お主達と共にな」
「そうお考えですか」
「うむ、信濃は七十万石もある」
 広い国だけあってだ、山国ながらも多くの盆地がありそこに田畑や街がありそこまでの豊かさがあるのだ。
「その全てを治めてじゃ」
「豊かになりますか」
「そしてな」
「甲斐と信濃からですな」
 今度は春日源助あらため高坂昌信が言ってきた、彼もまた名家である高坂家を継ぐことを許されたのだ。
「さらに」
「美濃、そしてな」
「近江からですな」
「上洛としたい、そして出来ればな」
「美濃は、ですな」
「早いうちにな」
 信濃を手に入れてというのだ。
「手に入れたい、ただその際な」
「北ですな」
「越後じゃ、越後の長尾家じゃ」 
 この家のこともだ、晴信は話した。
「あの家に備えてな」
「そうしてですな」
「美濃に向かいたい、木曽も手に入れ」
 信濃のこの地域をというのだ。
「木曽家を加えるなり降してな」
「そのうえで」
「そこから美濃に入る、美濃の斎藤家も強いが」
 晴信はこのこともわかっていた、それも既になのだ。
「しかしな」
「斎藤家を降し」
「そしてじゃ」 
 そこからというのだ。
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