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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
その後の顛末
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ンを取り戻す明確な勝算があったようだが、今となってはそれがなんであるのか確認のしようもない。遺産の再使用に際しては暁夫妻が「これ以上子供を喪えない」と彼と交戦し、無力化という形で敗北している。
 彼はその際、冷気の力は本来暁エデンと契約せずとも行使できる力であり、エデンとの契約で得られた術はそれとはまったく別の存在であることを仄めかした。

 「継承者」はどうやら彼がカセドラル生命体であると睨んでいたようだが、健康診断などの調査では彼は間違いなく純粋に人間である。これについては永居悟が興味深い考察をしていたが、結論から言うと彼は――。





「おい」

「なんだよ、味見屋。この上まだ何かあるのか?」

「時系列の再構成を確認した。これから数分後、再構成時点以降の俺たちの記憶はカセドラル側に放り投げられ、脳の情報はその時点からやり直すことになるだろう。恐らくはこれが氷室少年の『勝算』だ。やれ、クロノスとでも契約したのかね?」

「……つまり、この報告書も無駄になるって訳か」

「まぁ、接続者連中は再構成後もその前の記憶を閲覧できるから困らないがな」

「どーせ再構成後の世界でも、頼まれない限り答えない気だろ」

「当然。そもそも調べようと思わなければ再構成後の世界では気付けない」

「……エデンちゃんとエイジくんは?」

「再構成を成功させたのなら、もう一度まったく同じ道を繰り返すこともなかろうよ」

「そうかい」

「そうだ」

「……ラバルナの遺産、そして予言。これで覆せれば、特組も救われるのかねぇ」

 せめて再構成後はもう少し救いのある世界であってほしいと望みながら、松谷はペンをそっとテーブルに置いた。
 
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