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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第27話『非情なる刺客!ヴォジャノーイ再戦!』
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年齢は人間換算にしてだいたい18歳。実年齢は50か60くらいという、なんとも外観と中身がかみ合わない要素を持っている女性は、かつての大戦時に『魔剣』と呼ばれていた凶器そのものだった。
自分がうまれたゆりかごは、屍の山が転がる光景。
自分が聞かされた子守歌は、死の間際に残響する断末魔。
自分が抱かれたころの『唯一』のぬくもりは、母の懐などではなく、『自分を掴む何者かの手』だった。

――――それはあたかも、生まれたばかりの赤子が振り回され、人の命を食んでいくような――

誰も彼もが自分を求めて、自分を欲して殺しあっていく。
『剣』として生まれた自分は、『人』にもどるための呪文を……まだ言葉をしらない。
当たり前だ。生まれたての赤子が、人語を発生することなどできはしない。
できるのは正真正銘の『神』か『悪魔』しかいない。
そして、生まれたばかりの赤子を振り回して人を殺していくような記憶を焼きつけられた。
何年も、何十年も続いた戦争の中で、彼女アリアはようやく言葉を覚えた。
せり返るような怒号の中で。
命乞いする言葉を何度も聞いて。
還らぬ家族の訃事を耳に入れて。

それらは全て『使い手』を通して覚えたものだった。

つたない言語能力でも、単語をつなぎ合わせると、自然と人の姿に成れた。もともと、すりこまれた自分の能力であったかのように。
本当の正体は『自身を剣の姿に変えられる悪魔』なのだが、平時となったこのご時世で忌むべき『悪魔』は討伐対象にされており、自分の身を隠すために『魔剣』と名乗っていた。
となれば、自分の残された役目らしい役目と言えば、せいぜい『剣の姿になれるめずらしい能力』を見せることくらいだった。
そんな時だった。当時、独立交易自由都市(ハウスマン)の市長に当選したばかりのヒューゴーから声をかけられたのだ。「(エンターテイメント)に出てみないか」と。

独立交易自由都市の収入を獲得するためのヒューゴーの思惑であっただろうが、今おもえば、声をかけてもらえなければ、セシリー達とも出会えなかっただろう。
私はセシリーに出会えて救われた。
そして、私はガイに会えて運命をつかめた。
『神を封ずる』、つまり神剣としての使命を役目を終えた私は、徐々に自分の道を歩み始めた。
自分でいうのもなんだが、もともと人に、特に子供になつかれやすい私は保育士になった。
一度は魔剣という生い立ち上、人間の女性と同じ幸せを持てないと知った時、どこか捨て鉢になっていた気もする。

――魔剣は新たな魔剣を生む――

――魔剣に雌型が多いのはそのため――

――神への憎しみを育て、世に生み出すため――

いいかげんにしてよ……もう。

お母さんみたいになれないことを、この運命を恨んだ。悪魔契約でどうして
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