第27話『非情なる刺客!ヴォジャノーイ再戦!』
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するのか。
そもそも神剣が世界に干渉できるなら、赤子もろとも生き残っていても意味のないものなのに。
情と理、その違いかもしれない。
「神剣の在り処は――ここにはありません!ブレア火山の火口元の神殿に『護神刀』として祭られています!」
「ふ〜〜ん?そうなんだ。情報提供ありがとう」
――――そのまま赤子を抱いたままのヴォジャノーイは、踵を返してブレア火山の方角へ向かう。
「約束です!コーネリアスを返してください!」
「いや、実際にあるかどうかは確認してからだよ。どうも君たちは人が悪いから、赤子を返すのはその情報も本当かどうかを見極めさせてから」
「ふざけるな!そんな道理がまかり通るか!」
「通らないから、ボクも力で押し通すでしょうが。セシリーといったっけ?君の無力を勝手に押し付けないでくれ」
赤子の鳴き声がこだましながら、魔物の姿は闇に消えて溶けていく。恐らく目的の場所へ向かったのだろうか?
――無力。
かつて、新米騎士だったころ、何度も聞かされた屈辱の言葉。
事実であるがゆえに否定できず、受け入れることもできず。
『目に映る全てを救う』という誓いを立てておきながら、今こうして何もできずにいる現実。
セシリーが呻くように声を出す。
「誰か……」
助けて。そう言いかけた時、セシリーの頭上を覆う『覚えのある影』が現れた。
「これは一体……どういうことなの!?説明して!」
音沙汰などでは表現できない、壊された家屋とその風景。
見慣れた友人の光景である『在りし日の母子』。
決して見るはずのない惨状と、ありえない親子の光景を目の当たりにして、『アリア』の表情は驚愕の一色に染まる。
「ア……リア……?」
「アリアさん!?」
つかの間の安堵。されど事態は解決せず。それを理解してか、アリアは説明を求める。
「早く説明して!手遅れになる前に!」
茫然自失としたセシリーに変わり、リサが慌てた口調で事の顛末を説明する。
事態が事態なだけに、要領を得ない言葉と口調ではあったが、アリアには十分ことの重大さが認識できた。
ならば、そのために解決の糸口と一筋の光明を見つけなければならない。
(近くの遠隔通話玉鋼で公務役所へ連絡して、郊外調査騎士団を派遣してもらって、あとルークにも連絡を)
メモを取らなければ到底覚えられない手順と内容だが、今は筆を走らせる時間さえもおしいのだ。無理にでも頭に叩き込ませる必要があった。
アリアもまた、セシリーと同質の衝動が体中を駆け巡っている。
自身の生い立ちと経験が、そうさせている。
かつて『魔剣』と呼ばれ、蔑まれ、呪われていたあの時の自分を思い出して。
――――?―?―??―――
アリア
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