第27話『非情なる刺客!ヴォジャノーイ再戦!』
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れました。私はヴァレンティナ=グリンカ=エステス。私の隣にいるのは護衛のフィグネリア、従者のティッタです」
市長は顔をしかめた。ヴァレンティナという名前に聞き覚えがない。だが――――『エステス』?
まるでこちらの表情を読み取ったかのように、ヴァレンティナはほほ笑んだ。
「私は縁系ですが、『エステス』の姓を持つ王族の一人……そしてオステローデ公国を統治する戦姫の一人でもあります」
つまりは王女。若しくは王家にゆかりある貴族の令嬢。
加えて、王の次に偉い戦姫様と来たものだ。竜の武具に見初められし一騎当千の戦乙女の語り話は聞いたことがある。
とにかく、現ジスタート王国の継承権を持つ者の一人が目前にいる。その事実が、予想だにしていなかった人物の登場を前にして、レジナルドはぽかんと表情をだした。
「ジスタート王国の要人が、どうしてここ独立交易自由都市へ?」
「あるお願いがあってきました。【神剣之刀鍛冶】と『獅子王凱』の人物に会わせていただきたく―――」
あの刀鍛冶の小僧はともかく、放浪勇者の名を聞くことになろうとは、そもそもこの女はどうしてガイのことを知っているのだ?
「そのことについては先ほども申し上げたはずです。独立交易自由都市はあなたの要求に応じることはできない」
「無理は承知の上でお願い申し上げます」
先ほどからこんな調子だ。と両手をハンニバルは手をひらひらする。
「……独立交易自由都市の理念ゆえでしょうか?」
業を煮やしたヴァレンティナは思わず前がかりになって問い直す。
対して市長も譲る気は毛頭なかった。
「ヴァレンティナ=グリンカ=エステス殿。ご存知かと思いますが、独立交易自由都市はその名の通り、『自由』と『平和』の理想都市として興された都市。独立国家の地盤を揺らぎないものにするために、初代ハウスマンは次の3条を掲げました。一つは「他国に戦争しない」二つは「他国からの戦争を許さない」最後に「他国の戦争に介入しない」この三つです。仮にあなたの話が本当だとしても、それはテナルディエ公率いる『銀の逆星軍』が独立交易自由都市へ許すかもしれないのです。私はこの地とこの地の市民を守る義務があります。無論、私の隣にいるハンニバル=クエイサーも、レジナルド=ドラモンドも例外ではありません。確かに、ガイ君にはこの都市を救っていただいた、返しきれないほどの恩をくれました。しかし手助けする義理はあっても義務ではない」
すちゃり。誰かがこの場で抜刀したような音が聞こえた。
きらり。音より半腹遅れて光る何かが見えた。
(何をさっきからぐだぐだと!)
無言で怒りにたたずみ、双刃の翼はためかせる一匹の隼フィグネリア。
目にも留まらぬ一足飛びに、誰もが気づかなかった。独立交
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