第27話『非情なる刺客!ヴォジャノーイ再戦!』
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を拉致し、凱によって倒されたはず。
もしかしたら、銀の逆星軍が凱の行動を予測し、ここ独立交易自由都市へ先回りしてきたのだろうか?
そんなことができるのは、人間の常識を『ひっくり返した』奴らしかいない。
すなわち……魔物。
(俺の……俺のせいだ)
自分がセシリー達に接触を試みなければ、こんなことにならなかったはず。
何らかで後をつけられるなど……愚の骨頂。
(俺が戻ってさえ来なければ……)
真っ先に思い浮かぶ、自責の念。
自分自身と現状に悔い、歯ぎしりする凱。
しかし、今は現状を打開する以外に道はない。顔をうつぶせている暇などない。
「ちょ!……お兄さん!どうしたんだい!?」
老婆の動揺をよそに、凱は先ほど伝書バトが降り立った窓から一足で飛び出していく。
腰に携えるアリファール。翼を模した柄のこの剣は未だにへし折れたまま。
しかし、まだ勇者の勇気は完全に折れてはいない。
独立交易自由都市を覆う暗雲は、晴れる兆しさえ見えない。
それでも、一筋の光明をもたらさなければ。
それができるのは、勇者の剣がもたらす光のみ。
だから凱は向かっていく。戦うために。照らすために。
【日昼・ブレア火山麓・灰かぶりの森・護神刀奉納社】
灰かぶりの森とは、文字通り広大な樹海に灰が覆いかぶさった森林区域である。
物質の転生現象ともいえる『炭化』は、新たな生命をはぐくむための土壌となる。灰は土に。土は森に。森は肉を生む。そして生を全うした肉は再び灰と化して土に還る。こうして生命は誕生〜死〜新生の循環を行っていくのだが、この灰かぶりの森はただの森ではない。神の吐き出す『霊体』という不可視素粒子が、ブレア火山の自然体系を狂わせている。通常、風によって運ばれるはずの灰が、この霊体によって、まるでくさびを打ち込まれたかのように樹海へ付着していく。幸か不幸か、もしくはそのおかげともいうべきか、霊体の影響で居住化できるようになったのは奇跡ともいえよう。
もし、神――ヴァルバニルの寿命がついえて霊体の供給が途絶えた場合、果たしてどうなるのだろうか?
数年、数十年蓄積していた灰がまるで雪崩のように都市部へ襲い掛かり、居住部は壊滅する。一時は代理契約戦争の元凶を葬る案も出ていたが、独立交易都市側はこれを撤廃。神を必要としない『軍国』と、神にすがる『都市』との対立が見えていた。
独立交易都市はあらゆる勢力、国家から独立する。その主張を貫くために、神を封ずる聖剣がつくられた。
先ほど申した通り、神を殺せば、神の命数尽きれば、それは都市の壊滅を意味する。独立交易都市主導による『神の延命』は必須であった。
そんな黒竜の厄神が
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