第27話『非情なる刺客!ヴォジャノーイ再戦!』
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、悪魔契約の引き金となる『死言』にかぎりなく近いとされるからだ。
それを防ぐために独立交易都市は『洗礼』と『祝福』を祈祷契約という形で人々に提供していた。
だが、祈祷契約には触媒となる資源――つまり玉鋼が必要となる。
そういった物的要因もあってか、独立交易自由都市としては、出生率を抑制せざるを得なかった。
しかし、神が再び封印された以上はそういった心配をする必要もなく、独立交易自由都市側も出生率抑制を解除した。
そのためだ。生後の養育と環境場が急激に発展したのは。
今その立役者の一人がこうして雑貨に顔を出し、生まれてくれた一人の幼子の為に買い物しているのは、なんだか不思議な光景ともいえた。
「その風車を二つください」
ひとつの風車は、コーネリアスの為に。
もうひとつは、いつか生まれるであろう『もう一つの命』のために。
「はいよ。これが御釣りね」
店主の熟練された演算能力をもとに手渡されたおつり、それを受け取った凱は優しく微笑んで財布にしまう。
「お兄さん、こどもにでも買ってあげるのかい?」
「はい。友人にこどもが出来たのを知ったので、お土産にと思って……」
――――と、凱が途中で言いかけた時、不報は突然に訪れた。
ばたばたと、窓から聞きなれば鳥の羽ばたく音が聞こえてくると、そのまま老婆の肩にとまる。
まるで、長年共に過ごしてきた相棒のように、鳩が寄り添う光景だった。
「……鳩?」
不報を抱えてきた正体は、まあ見た目通りの鳩ではあるが、問題はその『首荷』だった。
「もしかして伝書バトですか?」
「昔からの趣味じゃよ。いわゆる『文通』というものかな」
通話という概念が誕生したこの独立交易自由都市では、確かに『伝書バト』で情報交換するのは時代錯誤もいいところと言える。
しかし、この雑貨屋は以前、独立交易自由都市およびブレア火山の『中継所』として、大いに伝書バトが飛び交っていた。山頂の気象情報や不法登山者がいないか、そういった情報を監視、伝達するために、この中継所は造られたのだ。
今の時代に至るまでの情報統制は、老婆と雑貨屋という前身がなければ、今の独立交易自由都市の姿はなかっただろう。
今は『鳩』から『携帯』に情報端末を切り替えた時代。確かに趣味というのはしっくりくる。
「……これは?」
伝書バトからの手紙を封切り読み上げる老婆の視線。そして訝しむ表情。なぜかその場の空気が硬直する。
「――――セシリー嬢ちゃんの子が、魔物らしき青年に拉致された」
瞬間、凱の心臓が跳ね上がる。
魔物らしき青年。凱にはたった一人だけ心当たりがある。
ヴォジャノーイ。かつてティッタ
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