暁 〜小説投稿サイト〜
魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第27話『非情なる刺客!ヴォジャノーイ再戦!』
[11/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
あたしを生んだの?

そういった反動もあってか、もう一度いうが、私はセシリーと凱に出会えて、ハンニバルのおっちゃんにも、皆に出会えて、この世界に生まれてみて、本当に良かった。

だからこそ、この保育士の道を選んだ。

他人からみればお母さんの真似事かもしれない。だけど、『つなぎ』・『守り』・『育てる』ことはできるはずだ。
シーグフリード=ハウスマンも、この想いを知れば、この暖かな気持ちに触れていれば、『世界を消す』なんてことに走らなかったかもしれない。
あたしたちは生殖器官に欠陥を抱えて生まれたかもしれない。
人間の姿を借りた別の何かかもしれない。
でも……それでもね。

今の時代から新たな次代へ、命をつなぐことだってできるんだよ。
あたしたちには、その力があるんだよ。
それを選べる自由だってあるんだよ。

あなたもハウスマンの名を持ってるなら、あなただって自由なはずだよ。
神様はずっとこの原作を見てきたよ。
世界を滅ぼそうとしたあなたを。その暴挙の爪痕を。
生まれたからには、何かを遂げる勇気を持ってる。
生まれたからには、必ず意味を持っている。
あのとき、世界が危機に瀕した先には、あなたとセシリーが向かい合っていたじゃない。
振り向いた先には、あなたを支えてくれた仲間もいたじゃない。
あたしたちは、絶対に夢をかなえられる。
例えそれが「世界を消す」夢が実現しようとも。
例えそれが「目に映る全てを守る」使命が果たされようとも。
その結果の先に、あなたたち二人が立っていた。
だってあたしたちは、一人じゃないんだから。
だからあたしは――――『今の惨状』を救いたくて行動を起こしている。










【独立交易自由都市・3番街市場区域・雑貨屋】










さて、視点は切り替わって獅子王凱のところへ――――

危機に瀕した惨状をまだ知らない凱は、幼子コーネリアスに玩具を買おうとして、少し離れた雑貨屋へ足を運んでいた。
流石は交流さかんな独立交易自由都市。たかが子供の玩具といえど、その種類と数は侮れない。
独立交易自由都市、いや、この都市を中心とする大陸の人々の出生率は、戦後を境にして急激に上昇し、そして安定していった。
もともとこの都市は食料自給率も高いことから栄養素を得られ、何より平和が訪れたという空気が申し子誕生に拍車をかけていた。
霊体という不可視素粒子の正体は、『ヴァルバニル――神・魔王の再臨』によって吐き出されるケミカル物質。すなわち、人間の心臓にくさびを打ち込む……それはまさしく呪い。
母体に息づく胎児ですら例外ではなく、阿鼻叫喚の戦時中は、例え生まれたとしても、運亡き者は悪魔に変貌してしまう。なぜなら、つたない赤子の発音は
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ