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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第一部
第39話 大脱走!
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究の為の人体実験に使われていたからだ。マフィアに関しての質問なら、基本なんでも答えられるくらい、俺は情報を持っている」
「は……人体、実験……? どう言うことだ」
「答えている暇は無い。早くそこを退いてくれ」
満月の下で、俺達は橙条さんの決断を待った。
ここで断られたら、一生琴葉を助けられない。グレースに怒れない。
第一魔法刑務所に打ち付ける波の音が、やけに大きく聞こえた。
それと同等か、それ以下のか細い声で、橙条さんはぽつりと、震えた声で告げた。
「駄目だ」
「???……エクスプロージョンッッッッ????????」
目の前で炎が爆裂する。
魔法を放ったのが誰なのか、そしてどのような目的で魔法を放ったのか。俺達にははっきりと分かった。
「レンくん、シンくん! 先に行って?? ボクも絶対に行くからっ!」
「ハク??」
「駄目だ、お前も一緒に……!」
「大丈夫だよ、二人とも。ボク達は出来損ないだから、ここに居るのかもしれないけど、四人一緒なら琴葉ちゃんにだって勝てるから。いつも四人一緒だったから、離れてたって、心はいつも一緒だよ」
そして、二度目の爆裂の直前、俺達はどこか、薄暗い森の中へ転移していた。シンが、転移魔法を使ったからである。
静まり返った緑の中で、俺達は溢れてくる涙を拭った。
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