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第百二十話 エル・ファシル星域会戦リターンズその2です。
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エル・ファシル星域会戦は総力戦の様相を呈している――。
フィオーナ、そしてティアナ艦隊が包囲されている――。
そのことは、前線で交戦中のケーテ、エミーリア、シャルロッテの3人に電撃的に耳に入った。
「何をやっていたんだ!?」
ケーテが珍しく色をなした。日頃無口でシニカルな彼女が顔色を変えることは珍しい。その原因を知っているのは親友であるエミーリア、シャルロッテくらいだった。彼女たち3人は貧窮の家の出であり、一緒の寮部屋で暮らし、一緒に戦ってきた仲間なのである。そのため恩義は女性士官学校を設立したアレーナ・フォン・ランディール、そしてフィオーナにあった。
女性士官学校を立ち上げた時、一時期指導教官として卒業生であるフィオーナがやってきたとき、直接指導を受けたことがある。
その時はシミュレーションによる艦隊決戦であった。連戦連勝続きのケーテが完膚なきまでにシミュレーションで敗北した相手がフィオーナだった。ケーテが不貞腐れながらポッドから出てくると、フィオーナが立っていた。その時、ケーテは相手が何を言おうとも聞く耳を持たない様子だったが、彼女が言った言葉はケーテの予想を裏切るものだった。
「もう一度、勝負しませんか?」
その理由を聞くと、
「あなたと戦うのは楽しいからです。こんなにも高揚した勝負はティアナや教官以来でした。」
と言ったのである。反射的にケーテは承諾の返答をしていた。一転、ケーテは不思議な感覚にとらわれながら再び対戦ポッドに入ったのである。
それからの付き合いはずっと続いていた。ついに一度もフィオーナを下すことができないでいたが、ケーテはそれで満足していた。あの人は自分の上に立つべき人なのだと――。
そのフィオーナ艦隊が包囲されている――。
ケーテは怒り心頭に発していた。こんなことがあってたまるものか!!
「全艦隊正面の敵を突破後、大きくコースターンをし、本隊を包囲している敵の上方に突入するんだ!!」
「ちょ、ちょっとケーテ、いきなりそんな指令――。」
エミーリアが声を上げようとした刹那、もう精密なコースが送られてきた。敵の2艦隊を突破後、恒星に突っ込み、恒星を回るようにして大きくカーブを描く。それは恒星の重力を利用した反動を利用して最大加速をし、敵に突入しようというのだ。
「続けェッ!!」
ケーテの指揮する部隊は速力を上げた。敵の二個艦隊の一点に猛然と襲い掛かると、紙をぶち破る勢いで突破にかかる。その背後にエミーリア、そしてシャルロッテが続いている。
「エミーリア、仕方ないっしょ。ああなっちゃったときのケーテはアタシよりカッカしちゃうんだもの。」
「はぁ・・・・・・。」
「さ、アタシたちも続こう。エリーセル教官を死なせる
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