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第百二十話 エル・ファシル星域会戦リターンズその2です。
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だ。
「第七艦隊を左翼の増援に向かわせ、左翼を掩護するように伝えてくれ。」
予備隊として後置しておいた第七艦隊をもって敵の砲撃を封殺すればよいと考えた。自軍の一部を動かせば、今度は手薄になった場所に砲撃が集中する可能性がある。包囲網を崩したくなかったのだ。
「第七艦隊の到着次第、こちらもスライドして敵の左翼から削り取っていく作戦に移行する。」
第七艦隊はすぐに戦線に参加した。元々そのために後置していたということもある。
これで敵の砲撃で生じた傷は癒える。各艦隊は連携し、包囲網を完了しつつあり――。
ディスプレイを見ていたヤンの脳裏で何かがはじけた。
「駄目だ!!艦隊運動中止!!」
ヤンは叫んだ。
「閣下?」
「何をおっしゃるのですか?」
「敵に誘導されているんだよ!!第七艦隊が我々の左翼に入ったことで・・・・・我々はその分相対右に動かなくてはならなくなる。」
「それは既定の戦略でしょう?実際閣下もそう指示されましたし。」
「そうさ、だが、タイミングはどうだ?私が自発的に発案したのではない。敵の動きに合わせて発案したんだ。それは――。」
「敵、後方一部隊より急速にエネルギー反応上昇中!!」
ヤンたちの目の前のディスプレイの一点が急速に赤さを増す。そしてそのエリアが判明した時、ヤン艦隊は自分たちがまさにそこの地点に移動しつつあるのを察知した。
だが、急には止まれない。敵の左翼を削り取るには、敵の意図を上回る高速で動いて雌雄を決しなくてはならず、これを達成するだけの速度が必要だからだ。何しろ第七艦隊がヤン艦隊左翼を埋めているので、元にも戻れない。
「この反応は・・・・要塞主砲クラスだぞ!!イゼルローン要塞が出現したとでもいうのか?!」
「いや、違う・・・・!!これは艦船だ。けれど、なんだって艦船がこれほどのエネルギーを・・・・!!」
「ヤン提督!!」
幕僚やクルーたちが振り返ったが、ヤンにできることは、急速回避を指令することだけだった。だが、どこに逃げればいいというのだろう。
ヤン艦隊は上下左右その射程内に抑えられているのだというのに。
* * * * *
「今です!!全部隊、散開して!!」
「今だァッ!!!アースグリム改級波動砲、斉射ァッ!!!」
フィオーナとシエル・マスケッタが同時に叫んだ。この点二人の息はぴったりと合っている。特に指示をしなくともフィオーナが正確にシエルのタイミングを読み込んでいるからだ。
散開した直後、姿を現したアースグリム改級の砲口から青い光が漏れ出るのが敵陣に映ったに違いない。まさに移動中のヤン艦隊はアースグリム改級の射線上にあった。
銀蛇がのたうつように青白い閃光がアースグリム改級から放たれ、まさにピン
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