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魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第7章:神界大戦
第203話「神界の洗礼」
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「っ、ふっ……!」

「とこよ!」

「鈴さん、後ろ!」

「ええ!」

 優輝達がカエノスと名乗った神に苦戦している頃、とこよ達も苦戦していた。
 相手は、中性的な容姿で、何故か服を着ずに生まれた姿のままの神。
 無性なため、目のやり場にそこまで困る事はなかった。

「(一体一体の強さは大した事がない。……それこそ、その気になれば前世の私の強さでも勝てるぐらいには、弱い)」

「(でも、()()()()……!)」

 そう。とこよ達が相手にしていた神は一人のはずだった。
 しかし、その神の能力が……。

「ほらほらほら!どんどん増えていくぞ!」

「まさか、分裂能力の持ち主とはね……!)」

 そう、“分裂の性質”。文字通り、分裂する能力だ。
 攻撃だけでなく、本人も分裂出来るため、相手の数は今も増えている。

「二人共!」

「「ッ!」」

 紫陽が合図を出し、とこよと鈴は屈む。
 その瞬間に紫陽が霊術で周囲の分裂した神を薙ぎ払う。

「キリがないねぇ!」

「相手の意志を挫く……と言っても、この数だと……!」

「でも、やるしかないよ!」

 紫陽を挟むように、とこよと鈴が背中合わせで迫る神を斬り払う。

「(キクリエ……とか言ったか。本体とかそういう類であれば良かったんだが、間違いなく一体一体が“本物”だ)」

 分裂の力を見せた時、相手の神は自らとこよ達に名乗った。
 それは余裕の表れか、洗脳され正気じゃないが故の行動なのかはわからないが……。

「(だが、名前が分かっているのなら……!)」

 それは、紫陽にとっては好都合だった。
 押し寄せる神の大群を凌ぎつつ、術式を構築させていく。

「“我が言霊よ、我が敵を縛れ”」

「む……!」

「“敵の名は、キクリエ”!」

 幽世の神として、力を振るう。
 名前を利用したその言霊は、人間であるならば絶対に逆らえない。
 例え相手が神であろうと、動きを鈍くするぐらいは簡単であった。

「今だ!」

「ッ!」

   ―――“斧技・瞬歩-真髄-”

 刹那、とこよが掻き消える。
 目にも止まらぬスピードで、神の大群の間を駆け抜ける。
 コンマ一秒にも満たぬ間に、元の位置に戻り……大群全てが切り裂かれた。

「縫い留める……!」

   ―――“弓技・矢の雨-真髄-”

「押し潰されなぁ!」

   ―――“三重圧陣”

 間髪入れずに、鈴が矢の雨を降らし、怯ませる。
 直後、紫陽が重力で押し潰す霊術を三重で行使する。
 単純な三倍の重圧ではなく、三乗された重圧が、神の大群を押し潰す。


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