7月
第76話『七夕』
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「私はオマケか。全く、お姫様を置いていくなんてどういう了見よ」
「いつから俺は王子様になったんだ」
ここで結月と莉奈と合流する。
ちなみに誤解のないように言っておくが、置いていった訳ではなく、教室で女子トークが展開されていたから帰ったに過ぎない。しかも待つかどうか迷いも見せたのだ。これなら無罪だろう。うん、無罪。
「いや、置いていった時点で有罪だよ」
「人の心を読むんじゃない怖い」
「ちっちっち、晴登の考えてることくらい何となくわかるもん。幼なじみをナメちゃあいけないよ」
「凄い、ボクもその力欲しい…!」
「結月ちゃんなら簡単にゲットできるよ。そもそも、晴登は単純だから」ニヤ
「聞こえてるぞ」
他愛のない会話をしながら、一行はついに件の校門へと至った。
登校時とは打って変わって、笹の葉はカラフルな短冊らで色とりどりに彩られている。その光景には思わず晴登も見入ってしまった。
その一方で、好奇心旺盛な莉奈は人の願いをガサガサと見漁っていく。
「あ、これ大地のだ。えっと・・・『サッカー選手になりたい』。何か普通だねぇ」
「おいおい、勘弁してくれよ莉奈ちゃん」
照れてはいるが、大地は願いを見られることにあまり抵抗は無いようだ。よほど自信があるということか。羨ましい…。
「そう言う莉奈ちゃんは何て書いたんだ?」
「私はねぇ、『プリンをたらふく食べること』!」
「…何となくわかってた」
莉奈の願いがプリン絡みなのは想定済み。将来の夢とかは聞いたことないが、たぶんプリン関係の職に就くだろう。そんな気がする。
「他には何があるかなぁ〜?」
「あまり物色するなって……ん、これって暁君と柊君の・・・」
莉奈の好奇心を宥めようとしていると、ふとそれらが目に入った。ダメだとわかっていても、ここまで来たら見てしまうのが人の性である。
「『強くなりたい』、『友達を増やしたい』か……」
晴登は自分にしか聞こえないくらいの声で呟いた。かなり漠然としているが、二人を知る晴登にはこの願いの重みがひしひしと伝わってくる。伸太郎は先日の裏世界での自身の不甲斐なさに向けて、狐太郎は自身のコンプレックス克服に向けてといったところか。
「うん、叶うといいなぁ」
晴登は独りでに微笑みながら、二人の願いが成就することを祈る。ついでに言えば晴登自身の願いも・・・
「あ、これ晴登のじゃない?」
「ホントだ、見せて!」
「おいやめろお前ら!?」
しみじみとしていると、そんな声が聞こえてきたので慌てて莉奈たちの方を向く。
しかし時すでに遅し。彼女らはもう晴登の短冊を手に持っていた。そ
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