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人理を守れ、エミヤさん!
王の話をされる士郎くん!
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出来るという。
 スカサハと密談し、最新の英雄の育成プランを練っていた時に聞いた。彼女は自身が真に英雄と認めた相手にのみ、スキルを授ける事も出来るらしい。既に英雄であると認めていると、彼女は言っていた。「いずれはなんらかの技能を授けるのも面白いであろうな」とはスカサハの言だった。

 錬鉄の弓兵を超える英雄を育てるとは言わない。あの弓兵は「エミヤシロウ」の極致に到っている。無限の剣を操る戦士だ。「エミヤシロウ」は、あれ以上にはなれない。途方もない修練の果てに限界を超えて、神秘の薄い未来世界の英雄であるのにあそこまで到ったのだから。
 故に目指すべきはあの弓兵とは異なる極致。無限の剣による究極の一ではなく、収斂した一による窮極こそが、最新の英雄であるこの男の目指すべき場所。

 ――彼は兵士ではなく、戦士でもなく、騎士でもない。故に成るべきはあらゆる憑依経験、無限を束ねた剣士である。
 その一点に於いて、才能の如何で問うべきではないのだ。剣士としての才覚はこの男にはないが。それを鍛え上げて、その異能の極限に適合させ、臨界点の超克(リミテッド・ゼロオーバー)を果たすのがマーリンとスカサハの出した最果てだった。

 投影魔術による殲滅力を残し、且つ彼だけの窮極を結実させる。それを成すには、彼は余りに弱すぎる。
 経験が足りない。力が足りない。速さが足りない。巧さが足りない。硬さが足りない。彼は一生涯戦う者として完成する事がない。――このままなら。
 その未熟を超えて、完成させる事がマーリンとスカサハの仕事だ。

 故に。

「さあて。修練の時間だ。エミヤ君、君にはこれから十二日間、ずっとある人物と戦ってもらう」

 習うより慣れろ。アルトリアにしたように教え導くには、彼は余りにも才能がない。
 故にその鉄心の男を鍛え上げるものは、まさしく鉄火場こそが相応しい。
 ユメのセカイに於いて、全能であるマーリンがその花園に象ったのは幻である。しかしその幻を限りなく実物に近づけ、実体を与えるのはユメであるから余りにも容易い。

 男は精悍な貌を引き攣らせた。

 顕れたのは、典雅な剣士だった。
 花鳥風月を愛でる、魔法の域に至った魔剣を操る邪剣使い。物干し竿の如き長大な刀を持つその侍は、与えられる仮初めの真名を佐々木小次郎という。

「最初はアルトリア、次にクー・フーリン、さらにヘラクレスと来て英雄王、今度はコイツか……?」

 声を震えさせて男は剣を構えた。双剣と双剣銃の使用は禁止され、得意の絨毯爆撃も厳禁された。
 マーリンは満面に笑みを浮かべて言った。

「そうさ。今度も殺されながら覚えるといい。いやぁマーリンお兄さんは親切だなぁ! 幾ら負けても殺されても構わない、修行の相手を取っ替え引っ替え! こんなに
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