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人理を守れ、エミヤさん!
王の話をされる士郎くん!
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。というか、その素質は皆無だしね?」
「ほっとけ。知ってるさそれぐらい」

 ふふ、と軽薄に微笑むマーリンに男は呆れぎみだ。何を今更言い出すのかと。

「かといって僕の扱う魔術は、教えた所で君には使いこなせないだろう。形だけの会得だって出来ない」
「三流魔術使いで悪かったな……」
「エミヤ君は魔術使いでもなく、どちらかというと異能者側なんだけれどね。固有結界にだけ特化した魔術回路で、難度の高い魔術を習得するのなんか無駄でしかないよ。付け焼き刃にするのにすら君の世代では不可能と言っていい。そこは君の子供に期待だ。なにせ固有結界は継承可能だからね」
「……一つ聞いていいか? 俺が知らないだけで、もしくは忘れているだけで、俺に子供はいるのか?」

 なんとなく不安げにする辺り、男にその手の心当たりはあったりするのかもしれない。しかしマーリンは苦笑した。

「いないよ? 勿論どの女の子のお腹にもいない。避妊はばっちりみたいだね」
「……」

 安心していいのか、どうなのか、男はどう思うか悩ましげだったが。
 今はその話は横に置いていい。

「話を戻すとして――王者としての帝王学も無用だ。実利的な知識はもう持ってあるだろうし、何より王の資質すらない君に、王に相応しい格を持たせるのなんかは無駄なんだよね」

 だから王を創る必要はない。彼の気質は兵士でも、戦士でも、騎士でもなければ王でもない。
 将だ。指揮官だ。マスターとしての力量は現代の誰よりも高い。人々のエネルギーを繋ぎ合わせ、一ヶ所に集中させる手腕は類い稀なものだ。知名度補正がゼロ、剣士としての才能もない彼の弓兵は、本来なら中堅の英霊と同等かそれ以下程度の霊格であるにも関わらず、個人で持ち得る戦力の運用と戦闘センスで、近接戦でも騎士王相手に防戦を成立させるまでになっている。その『戦う者』としての才覚が指揮官としてのそれに振られているのだ。平凡であるはずがない。
 戦士として鍛えるのは影の国の女王の役目だろう。だからといってそちらを疎かにする気はないが、マーリンがこの男に施し、研ぎ澄ますのは異能に近い固有結界の収斂である。魔術回路を補強し、魔力リソースを底上げさせ、彼の中にある霊基に頼らずともいいようにする手回しも徐々にしている。
 そして他にもある。人理焼却からも免れている妖精郷にいるマーリンは死ぬ事がなく、英霊ともなれないが、あるクラスだけが持つ単独顕現のスキルを独自に習得しているマーリンは擬似的にサーヴァントとなる事が出来る。そのサーヴァントとしての技能で、マーリンは彼の魔術行使の練度を底上げさせていた。それは『英雄作成』の技能である。

 影の国の女王は、その技能である『魔境の智慧』によって、英雄が独自に保有する技能を除いたほぼ全てのスキルを高い習熟度で発揮
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