王の話をされる士郎くん!
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びたのだと思い込んで。己の存在を否定してしまう。それだけは――認められるものではなかった。
だが塔に幽閉され、視る事しか出来ない彼は、救いのない終わりを座して見守るしかなかった。そうして何もかもを見届け、その全てを記憶し続ける事が己に与えられた罰なのだと受け止めて。
だがしかし――それは覆された。
――いよぅし! 美しい、なんて奇跡だ! 一体どうなっているんだこのセカイは!? まさか、まさかこんな結末があるなんて!
ある島国で行われた聖杯戦争。その戦いに招かれた王の軌跡を見守っていたマーリンは、全く予想だにしなかった光景に喝采を上げた。
ある少年と出会った王は、自身の足跡を受け入れ、聖剣を手放したのだ。
信じられない奇跡、救済だ。少年は王を救った。その時から彼はずっと少年を視続けた。そして事が起こる度に拍手喝采を送り、そして。
『マーリン。私をカルデアの彼の許へ向かわせてほしい。私は再びシロウの剣として、その力になりたい』
英霊の座にはいない、妖精郷にいるアルトリアその人から願われたマーリンは、喜んで彼の許へ王をサーヴァントとして送り出した。
アルトリアが男の許へ喚び出されたのは偶然でもなんでもなかったのだ。依怙贔屓上等、ハッピーエンドの為ならなんでもござれ。全力で支援しよう。
――マーリンはその聖剣の如き男に憧れている。大ファンだった。
感謝しているのはこちらの方だと伝えたい。しかしそれは言わぬが花なのだろう。
だって『その方がカッコイイ』から。男同士の言葉にしない気持ちっていうのは、まるで自分までそのように在れるかもしれないと、夢魔なのにユメに見てしまえるようではないか。
これこそが浪漫という奴なのだとマーリンは学ぶ事が出来た。それもまた喜びである。他者の感情エネルギーを食べて、そのエネルギーを消費して感情を出力しているだけであるはずの夢魔は、まるで自分自身の裡から溢れて来たような情動に浮き足立っていた。
「さて、今更君に座学の必要はないよね」
何故か胡散臭いと嫌われる事の多い自分に対して、あくまで気さくに接してくれるのは喜ばしい。何せ彼には嫌われたくないのだ、好感度が高いようであるのは、マーリンとしても喜ばしい事である。
しかしこの時間は無駄には出来ない。最大限有効に使い、彼がこのユメの中で過ごす十二日間もの体感時間をフル活用して鍛える必要がある。そして残り二日分の時間のリソースを眠りに費やしてもらい、その精神を安らげねばならないのだ。
マーリンは気を取り直して、教鞭を振るう。何を隠そうこの花の魔術師は、アルトリアを王として完成させた剣の師でもあるのだ。
「僕はキングメーカーだけど、何も君を王とするつもりはないよ
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