ブラック上司な士郎くん!
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そこまでか? 俺は当たり前の事をしているだけだぞ……? 出来るからやった、やらなければならないからやった。それだけなんだ」
「マスターはご自身の評価が甘いようですね。その当たり前を実行し、成功させられる者が他にいますか? 彼らの集団心理は当然の帰結として、貴方に依存してしまった。しかしそれは悪い事ではありません。この非常事態に在って、貴方さえ無事なら彼らは希望を見失わないという事なのですから。誇ってください、貴方は偉業を成し遂げている。此処が特異点でさえなければ、マスターは英霊に列されても不思議ではない功績を積んでいます」
「アルジュナ……」
マハーバーラタの大英雄は秀麗な美貌に柔和な笑みを湛え、素直に賛辞しているようだった。こそばゆい率直なそれに、俺は顔を顰めるしかない。
英雄なんてガラじゃないってのに……。そんなものに成りたくて、こんな馬鹿げた戦いに飛び込んだ訳ではない。俺が英雄かそうではないかという話ではない。全くナンセンスだ。
俺は咳払いをして、仕切り直す。論点がズレてしまわないように舵を切り直した。
「……カーター、他に報告は?」
「いえ、何もありません! BOSS!」
同胞であるエドワルドが叱責された直後ゆえか、妙に緊張している様子のカーターに苦笑を禁じ得ない。
「畏まるな。……では本題に入ろう。俺から提示する議題は三つだ。『防衛線の構築、退路の確保』が一つ。敵に攻められる度にこの城を危険に晒していれば、一度の失敗で全てを失いかねない。これは急務だ」
異論はないようである。彼らにも挙げたい議題はあるのだろうか。
余り俺だけが案を出すという場にはしたくないんだが……出来ればカーターも考えていてほしかった。
「『兵站の確保』が二つ目。これも可及的速やかに解決せねばならない。食えねば死ぬ。直接的な脅威である外敵の排除と並列して、こちらも確立しなければならない。なんとしてもだ。これはスカサハに任せようと思っている。なんとかしてくれ」
「なんとか、とは?」
「なんとかだ」
反駁するスカサハに、鸚鵡返しに繰り返す。
ほんとなんとかしてくださいスカサハさん――その切なる願いが伝わったのか、スカサハはなんとも言えない微妙な顔で頷いた。
「分かった。やれるだけの事はやってやろう。土壌や種子に手を入れ、これを植える。どれほど過酷な環境だろうが関係なく育ち、二ヶ月周期で収穫出来るものを作れるか試みよう。成功すればひとまず餓える事はあるまい。城内の一部区画を異界化させるぞ? そこで色々と試すのに一週間、経過次第で導入する。それから一つ目の議題で上がった防衛線の構築も請け負ってやろう。流石にこの城は脆すぎるからな。時は掛かるが、いずれ神代の城並みに頑強に組み換えるのも面白い。それと平行してこ
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