ブラック上司な士郎くん!
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います。左脚を骨折してあるようで……」
「分かった。処罰はどうした?」
「は?」
「処罰はどうしたかと聞いている。まさか何もしていない訳ではないだろう?」
「そ、それは……ジョナサン・ホークウィッツ中佐は、リンチされて脚を折られてありますので、罰を与えるのは流石に……」
「誰がそっちの話をした。ジョナサンをリンチした側への罰はどうしたと訊いている」
「えっ? あ……な、何も……」
「――戯けッッッ!!」
卓に拳を叩きつけ大喝した。怒声を張り上げるやビリビリと攻城塔が震える。エドワルドが椅子に座ったまま腰を抜かした。
隻眼を見開き、眼力を込め叱責する。あってはならない事だ。見過ごす事は許されない、
「先に仲間に手を出されたからと、一人を相手に多勢で私刑を加えた者達を咎めもしなかったのか?」
「し、しし、しかし、BOSSの指揮権を侵そうとした中佐は、罰されるべきでは……」
「――真性の間抜けか貴様? 確かに軍権を侵そうとする者は罰せられるべきだ。しかし何事にも踏むべき手順というものがある。それを飛ばして一方的に断罪する事はあってはならない。お前や難民達が俺を慕ってくれているのは嬉しいが、忘れるな。俺達は独立した組織ではない。あくまで他に行き場のない者を保護し安全圏に移るまでの団体に過ぎん。大体、俺は正式な軍人でもなんでもないんだぞ。ジョナサンからすればお前達兵士は自分に従って当然だ。それに如何なる事情があれ、一方的な私刑を加えてなんのお咎めもないなどという悪しき前例を作ってどうする? 非常時だからこそ綱紀粛正は徹底しろ。エドワルド、今すぐに私刑に加わった者を集め然るべき罰則を与えろ。合法化される私刑など存在しない。存在させてもいけない。……分かったなら行けッ!」
「は――はッ!」
エドワルドは転げるようにして立ち上がり、急いで攻城塔から降りていった。それを見送る。
暫し沈黙の空気が流れる。ふ、とスカサハが笑みを浮かべた。
「……立派に将帥らしく振る舞えておるようだな、マスター」
「茶化すな、スカサハ。こちとら頭が痛いんだ。なんだってここまで俺は神聖視されているんだ……? ジョナサンって奴は正当な立場から、留守の俺からトップの座を代わろうとしただけだろうに」
「それだけマスターは、彼らにとって大きな希望なのでしょう。命を救われた、保護して此処まで連れてきてくれた……彼らはマスターの指導力に心酔して、だからマスターの立場を脅かす存在を受け入れられなかったのだと思います」
ですよね、カーターさん。シータがそう水を向けると、カーターはなんとも言葉にし難さそうな表情で小さく頷いた。あくまで平静なシータの物言いと、カーターの肯定はそれが事実であると表しているようで、俺は鉛色の吐息を溢した。
「……
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