267部分:その吹く風その二十四
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「坪本は彼女いるみたいだけれどな」
「そうだったの」
「詳しい話は知らねえ。そうらしいってだけでな」
正道はこう語った。
「他の奴等はな」
「いないのね」
「野本とか竹山なんてそもそも作る気すら怪しいしな」
この従兄弟同士に至ってはこんなことを言われる有様だった。
「自分の趣味ばかりだからな」
「そうね。あの二人はそうよね」
「まあ男もそんなところだよ」
あらためてこう言うのだった。
「うちのクラスはね」
「そうしたものなの」
「そうなんだよな。それでな」
「ええ。それで?」
「俺もキスははじめてだったしな」
自分のことに話を戻して照れ臭そうな顔にも戻った。
「実際な。やっぱり俺もな」
「奥手同士ね」
「そうだよな」
今度は笑顔になった二人だった。
「じゃあ奥手同士でいいか」
「それならそれでいいと思うわ」
未晴も言った。
「知らない者同士で歩いていっても」
「いいよな。別にな」
「ええ。だから」
そっと自分から正道の手を握ってきた。そっとではあったが確かに。
「今日はこのままね。暫くここにいましょう」
「ああ、二人でな」
未晴の言葉ににこりと微笑む。これが二人のはじめてのキスだった。夏は二人の仲を少しずつだが確かに育てていくのだった。
そよ吹く風 完
2009・4・13
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