四十二匹目
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婆様強ぇ…。
「ん? 魔法? クーコはあまり魔法が得意ではなかったと思うが」
「教師が悪かったのでしょうね、お婆様に教わるようになってからは上達しました。流石はエルフの血と言いましょうか、クーコ様は魔導師団とならばやりあっても勝てましょう」
この世界の魔法は過程をより詳しく知っていれば発動しやすくなる。
しかし科学がそこまで発展していないこの世界では、何れだけの人数がそれをできるだろうか。
クーちゃんには俺がある程度の科学を教えた。
ハーフエルフの魔力量で、かつ明確な知識によってもたらされる低燃費と高威力。
もはやチートだ。
宮廷魔導師の弟子の集まりに過ぎない魔導師団なぞ敵ではないだろう。
「君はどうなんだ?」
「どう、とは?」
「君は宮廷魔導師麾下の者と戦い、勝てるのか?」
「どのような手を使っても宜しいのであれば」
「ほう?」
勝てと言われたら、まぁ…頑張れば勝てるんじゃね? って感じだ。
空気を抜くなり巨大な氷柱を落とすなり色々思いつきはする。
この世界には瞬間移動魔法は無いらしいのでそう簡単に避けられる事はないだろう。
その上の人、つまり魔導師団を従える宮廷魔導師、その中でも戦闘系の魔導師には敵わないだろう。
まず母さんには勝てないだろう。
確実だ。
ボーデンは……わからない。
武勲を立てたらしいが、誰も教えてくれないのだ。
「随分と自信家なんだな、君は」
「自己評価は正確なつもりです」
(前にブライが言っていたな…。謙遜も虚言も言わないと)
「そうか。では学園では存分に力を振るうといい」
「ゅ? 僕が全力出したら大惨事ですよ? あとクーコ様にも学園では自重するようアーネスト様からもいってください」
「おぼえていたらな」
「いやいや、クーコ様が本気出したら学園が竜巻で吹き飛びますよ? いいんですか?」
数秒の沈黙の後、アーネスト様が顔を青くして呟いた。
「………筆頭殿のリンチだな」
お母様何したんだよ……。
「それはそれとしてだな…。学園ではクーを護って欲しい」
アーネスト様のセリフにクスリと笑ってしまった。
「ふふふ…親子なんですね…。国王様も同じ事を言っていましたよ」
「そうか」
それからは会話は無く、二人でまったり過ごしていた。
side out
「見つけましたわ父上!」
「クー?」
アーネストが声のした方を見ると、クーコが空中に立っていた。
「クーコ!? どうやって飛んで…!?」
「シラヌイに教わった風の翼という魔法です」
トッ…とクーコが屋根に降り立った。
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