覚醒?暴走?
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力を出さないスタイルのティオスに天海はそう問いかける。それに対し、彼はクスッと笑ってみせた。
「もう少しだけ力を解放してみることにしよう。もっとも、それで君相手には十分かもしれないが」
劣勢にも関わらずあくまでも自分の方が強いと言いたげな彼に天海は口を閉ざす。わずかながらではあるが、魔力が高まったティオスは、先程とは比べ物にならない速度で突っ込んでくる。
「それではまだ・・・」
氷を纏わせた拳。それに水が絡まっていく一撃をお見舞いするティオス。それに対し天海は拳で対抗する。
「俺は楽しめない!!」
魔力を纏わせた拳と純粋に自身の実力でのみの拳。通常であればどちらが勝つかは明白であるはずなのに、長身のその男はそれすらもあっさりと跳ね返してしまう。
「バカな!!」
押し負けてよろけるティオス。天海はそんな彼の手を掴むと、引き寄せて額に頭突きを喰らわせる。
「竜神の・・・」
大きく息を吸い込む。二人の距離はほぼゼロ・・・今から交わしていては避けることなど不可能ならほどの距離。
「咆哮!!」
高い魔力を一点に集中させて解き放つ。それは天海を飲み込むかと思われたが・・・
「甘い」
彼は咄嗟にティオスの前に手を構えた。
「があああああ!!」
彼のブレスに押し負けることなくなんとすべての攻撃を跳ね返してしまった天海。自身の強力な魔法が完全に跳ね返されたことにより、ティオスは苦痛に顔を歪めていた。
「こんな・・・ことが・・・」
氷と水の混合魔法により全身血まみれのティオス。その様を見て、天海は大きくため息をついた。
「これでもまだお前はその余裕を貫き通すのか?」
3つの滅系魔法のすべてを解放することはせず、全力を出さないスタイルの彼に嫌気が差してきた天海は、笑みを失いつつあった。ただ強者との戦いだけを好む彼に取って、今のティオスは取るに足らない存在。
「・・・そうも言ってられなくなったようだな」
その瞬間、彼の魔力の質が変わるのを感じた。それは体内に魔力を持たないがために、相手の魔力の質を感じ取ることができない天海でさえ、わかるほどの大きな変化だった。
「君にはやはり全力以外では相手にならないようだ。だが悪く思わないでくれ。全てを解放するには準備が必要なんだ」
「準備?」
漆黒の翼を広げながら、さらに魔力を解放していくティオス。次第に高まっていくそれは、大気を震わせ、大地には亀裂が入り始めていた。
「長く全力を出したことがない俺がいきなり全てを解放するのは無理だ。徐々に段階を踏んでいかなければならない」
いきなり全てを解放してはさすがのティオスでも肉体がそれに耐えきれない。だからこそ、できるだけ力は解放したくなかった。
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