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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第一部
第37話 Side.First Magic Prison
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かい? 彼は単独で、真正面からマフィアビルに乗り込んできたからね。捕らえさせて貰ったよ。今は魔法研究に必要な人体実験の被験体にするか、拷問の後に殺すか、幹部と一緒に相談しているよ』
「ふざけンな……?? 黒崎を解放しろ!」
『なら取り返しに来れば良いじゃないか。彼だって、琴葉君を救出する為に行動した』
「黒華の為……? 彼奴は生きてンのか??」
『嗚呼、生きているとも。“マフィア幹部”としてね』
脱獄して、一舎と“塔”って呼ばれている所を結ぶ通路の近くでうろうろとしていたら、急に怒鳴り声が聴こえた。声の方に近寄ってみれば、橙条さんが誰かと電話しているようだった。耳が当たってしまったのか、スピーカーの状態になっている。
と言うか、今“琴葉”って???
「は……? マフィア、幹部……って」
『そのままの意味だよ。琴葉君は五年前と同じ様に、響君と仁君を補佐につけて、幹部をやっている。それがどうしたんだい?」
「五年前と同じ……? ってことは、黒華もマフィアの人間だったのか……? 彼奴も裏切って……」
「琴葉はそんな事しない??」
あ。
物陰に隠れて聞いていたのだが、つい飛び出して叫んでしまった。
勿論、橙条さんは目を見開いて固まっている。橙条さんの携帯の画面の向こう側からは、小さく笑い声も聞こえる。
やってしまった。
『ふふ、可愛い囚人君だねぇ。レン君、だったかな? 琴葉君が会いたがっているよ』
「なら、会わせてくれよ! 琴葉を返せ??」
『橙条君にも言ったけど、そんなに琴葉君が大切なら取り戻しにおいで。その力が無い奴に、琴葉君は渡せない』
「だったら行ってやる。要だって行ったんだからな。ハクだって、シンだって、琴葉に会いたがってるから」
やってしまった。
マフィア首領に怒鳴ってしまった。
明日殺されるな。
「看守さん、これから俺達三人は外に出る。脱獄って扱いにされたくなければ外出許可を出せ」
「ハァッ?? ンなの出来る訳ねェだろ??」
「じゃあ脱獄する! 琴葉がいなけりゃさっさと外出れるからな?? 首洗って待ってやがれ、マフィア??」
言っちまったぜ。
まぁ長くても明日までしか生きられないしなぁ。
マフィアに逆らったから。
『はは、面白い冗談だね。隣で琴葉君が膝を抱えて笑っているよ。琴葉君、代わる? ……って、何処行くんだい。逃げるつもりなのかい?』
『……橙条“さん”、何の用ですか? それに、被験体も。マフィアに戻ってくる気になったんですか? 大歓迎ですよ……って、首領。そんなに笑わないでくださいよ』
「琴葉……? 琴葉なのか?? どうしたんだよ、その口調とか
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