ケルト的運命の出会いだね士郎くん!
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」
果たして勝利なのか。まるで失敗作を処理しただけのような気もする。
非情な剣士としての貌から一転、晴れやかな笑顔を浮かべる沖田を横に沈思する。幾らなんでも弱すぎるのに……宝具だけは確り持っていたというのは、なんともちぐはぐ感を拭えない。
それに――殆ど違和感もなく敵サーヴァント、ジャンヌ・ダルクから宝具を簒奪した自分自身。普段はなんともないが、鉄の心を固める戦闘時には合理性のみを追求する面が強くなっていた。危険な兆候である。魔神柱もどきを始末した時以来、固有結界の弾丸など撃ってはいないが……たったの二発だけで、随分と内面が変化している気がする。
それはさておくとして、奪ってしまった宝具はどうするのか。敵サーヴァント軍団を殲滅こそ出来たが、彼女達はなんの目的があって奇襲を仕掛けてきたのか……。何故こんなにも弱く、指揮官が誰もおらず、捨て石の如く玉砕したのか。結局誰も最後まで逃げようともしなかった。メディアの飛翔も、こちらを牛若丸で不意打ちしようとする為の布石でしかなかった。
考えねばならない事は山ほどある。
ケルト軍の頭目は……戦士を乱造可能で、且つ戦士を統べていて、聖杯で滅茶苦茶な事を仕出かしそうな王と言えば……コノートのメイヴぐらいなものだろう。この推測があたりだとすれば、メイヴは何故女の英霊をこんなにも産み出した? この際どうやったのか、その詳細はどうでもいいとして……。クー・フーリンの夢の中で見て、実際に感じた印象にある限りだと……メイヴは強く、嫉妬しない男の戦士を好んでいる。「過去から現在、未来に至るまでの全ての男達の恋人」を自称する破綻者が、捨て石としてであっても女を産み出そうという発想を持つだろうか。
それらを踏まえて考察するに……この未熟な霊基の女英霊達は――
「《試作品》、か?」
或いは多数のサーヴァントを無理矢理に召喚しようとしているが、不馴れなのか力が足りないのか、効率が悪いのか、召喚形式をまだ確立出来ていないのか。
……勘だが、養分が足りず、召喚形式がまだ不安定、といったところだろう。
いずれは男の、歴戦の戦士であるサーヴァントばかりを産み出せるようになるかもしれない。そうなれば――極めてマズイ事態となる。
頭が痛い問題だ。敵の本拠地はワシントン州辺りだろうが、そこまで攻められる勢力はない。本拠地を他所に移している可能性もある。現地勢力との接触も出来ておらず、そちらと協力出来るかも不明だ。さらに言えば――いや、そちらはいい。
舌打ちする。沖田は不思議そうに馬上の俺を見上げてきていた。魔力殺しの聖骸布を取り、包んである炎の聖剣を消滅させようと思う。
奪っておいて何を今更と思われるかもしれない。しかし我に返った今は、俺が持っておいてもいいものではない
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