ケルト的運命の出会いだね士郎くん!
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」
「――はっ!」
沖田が俺の傍から消える。一度目の縮地。反応の鈍いメドゥーサの背後に移動しその首を刎ね飛ばした。
悪いな、メドゥーサ。カルデアにはチビの桜もいるから、その気があったら来てくれ――そう呟く。
『熾天覆う七つの円環』で身を守りながら、魔力殺しの聖骸布で包んだ宝具『紅蓮の聖女』をアンドロマケの鞍に括りつけ――はたと我に返る。
「 」
ゾッとした。戦慄した。無意識の行動に。英霊の誇り、サーヴァントの持つ信仰そのものと言える宝具を奪い取り、それに何も感じていない自分に気づいた。その事実に肌が泡立つような悪寒を感じる。今までの己なら絶対にしなかった行為……。戦力の向上に使えるかもしれない、それだけの理由で躊躇いもしなかった己に恐怖を懐く。
薄紅の七枚楯に、沖田が離れた隙に集中砲火が浴びせられている。しかし一枚足りとも守りの花弁は破られていない。己の所業に絶句していた俺は、それで意識を切り替える。今は悍ましい行いを省みている場合ではない。俺はアイアスの楯を展開したまま無数の投影宝具を虚空に現し、冷徹さに徹して剣群を射出し続けた。
やがて女サーヴァント達は、メディアを残して全滅してしまった。俺は敢えてアイアスの楯を消す。
沖田は瞬時に距離を詰め彼女を斬殺せんと刃を閃かせるも、その前に彼女はマントを翼のように広げて飛翔する。逃がすものかと剣群を射出する素振りを見せた。――と、
「お春。俺の後ろだ」
あたりを付けて指示を発する。沖田は声もなく反転し俺の背後に跳んだ。剣戟の音色、鋼と鋼がかち合う硬質な響き。火花が散っていた。
俺の背後に姿を現したのは華奢な少女である。肩や腰のみを守る日本武者の甲冑を纏い、狸の尾のような鞘を提げ、日本刀を両手で振るっている。
見え透いていた。あれだけの数のサーヴァントの成り損ないを隠していたのはメディアだろう。彼女にしか出来ないほどの姿隠しの魔術である。見る影もなく劣化している彼女だが、その知性の片鱗は残っているようだった。故に最後まで生き延び――当て馬にしかならないと見切りをつけていた味方には期待せず、奇襲に適した本命を最後まで忍ばせ、守りを解けばぶつけてくると思っていた。
案の定……一瞥して刀を解析するに、牛若丸という真名のサーヴァントを隠していた。源義経が女だったという驚きはあるが、固まるほどではない。彼女もまた大幅に劣化しているだろうに、沖田と数合刃を交えるほどの剣腕を魅せるも、あえなく斬り捨てられる。決着を見届けずそちらから視線を切り、空中に逃れたメディアへと多数の剣群を投射して串刺しにした。
メディアと牛若丸も消滅する。なんの達成感もないやるせなさだけが残った。
「戦闘終了です。大勝利ですねっ、シロウさんっ!」
「……ああ、そうだな
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