幕間「女王の狂乱」
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のクーちゃんは最強なんだから。世界で一番強い、世界最高にカッコイイ私の王様なんだから。
でも、なんで帰ってきてくれないの?
親指の爪を噛む。イライラする。クーちゃんが私の隣にいてくれないと、意味がないのに。クーちゃんはどこに行っちゃったんだろう……まさか、私を捨てた? それは有り得ない、だってクーちゃんは私のなんだから。なら……敗けたの?
それはもっとあり得ない、世界で一番強いんだから。それに万が一にも負けそうになったとしても、クーちゃんには『あれ』がある。それを使わされたとしても、退き時を見誤るクーちゃんじゃない。それに死んだとしても《私にはわかるんだから》。
……。
…………。
「……女王メイヴ。ディルムッド、只今戻りました」
生理的に無理なフィン・マックールの部下、ディルムッド・オディナが戻ってきた。
遅いわよ、どこほっつき歩いてたの? そう詰って嬲る気も今はない。急いでクーちゃんを探しに行かせる。
それだけじゃ全然足りない。全ての私の兵隊に私の王様を探させる。どこ? どこに行っちゃったの? 早く戻ってきて。愛しの王様、私だけのクーちゃん。早く、早く、疼くの。早く戻ってきて――
そうして、何日も経った。
そして、私の兵隊が王様を見つけて帰ってくる。
《眠っているクーちゃんを抱えて》。
「――」
こんこんと眠り続ける。どれだけ愛を囁いても。どれだけ揺すっても。どれだけ声をかけても。
眠り続けてる。
……なに、これ?
どうして起きないの? どうして眠っているの? どうしてよ……。
……。
…………。
………………。
――ああ、そうなんだ。
「……い」
――誰かが、何かが、
「……ない」
――私の王様に、
「……さない」
――要らないちょっかいを、かけたのね。
私の夢を。私の願いを。私の、私の、私の、
「赦さない」
クーちゃんは。
私だけのクーちゃんは。
その冷酷なはずの寝顔に。――《穏やかさを僅かに取り戻しつつある》。
「赦さない――よくも――よくもォォオオオッ!! 私のクーちゃんに、手をあげたなァァアアアッッッ!!」
憤怒に、激怒に、未だ嘗て経験した事のない赫怒に魂が焼き切れる、沸点を超えて臨界を超える。
――血を吐くように狂い叫ぶコノートの女王。清楚な美貌から血の涙を流して激情に狂った。
誰がやった、なんでこうした、そんな疑問すら焼却される。何もかもを焼き払わねば気が済まなかった。何もかもを破壊しないと収まらなかった。
瞬間、北米大陸に
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