グレートプレーンズだよ士郎くん!
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と静かに離れていっている。……おいおい、もうコクってフラれたのか。惚れっぽくて無駄に行動力があるとは……シータはやめておけ、そんなナリでも人妻だぞ。粉かけたらいずれ旦那が合流してくれた時にぶん殴られる。
沖田は頭を下げた。
「……すみません。また、不覚を取りました。大事なところだったのに、肝心なところでお役に立てなくて、本当にすみませんでした」
「……」
「私……頼りないですよね。あ、あはは……足手まといで、ほんとすみません、マスター……」
「……そう思うか?」
「……え」
コイツはまた、思考が悪い方に転がってるらしい。
まったく……なんだってこうも世話が焼けるんだ。面倒臭くて、だからこそ可愛く感じる。
「さっきの事なら気にするな。まだ生きてるだろう? 俺も、お前も。なら対策できる、戦える。挽回する機会は幾らでもあるんだ。気に病むんじゃない。それに俺はお前を足手纏いだと思った事はないし、これから先も思わない。俺の最初の令呪を忘れたか? 『何があろうと戦い抜け』だ。令呪の効力は切れていてもその命令は今も生きている。……って、なんで泣くんだよ」
「ぐすっ、だって……だってぇ……!」
沖田は感極まったように涙ぐんでいた。涙腺緩いなオイ。大丈夫かお前……。
頬を赤くして、子供みたいに眼を擦っている。仕方ないから慰めるように頭に手を置いて、俺は忘れない内に沖田に言った。
「春、これからは俺の事は名前で呼べ」
「……え? そ、それって……」
「マスターって響きもいいがな。和風のサーヴァントが横文字使う違和感はひどい。ここは日本人らしくいこう」
「な、なら……主殿?」
「名前で呼べって言っただろうが」
「ジャックさん……?」
「横文字だろそれ」
「……エミヤさん」
往生際の悪い沖田に苦笑する。頭に置いたままの手を動かして、ぐりぐりと動かしてやった。
あわあわと、慌てて手を振り払ってくる沖田に、俺は噛んで含めるように言う。
「シロウだ」
「ぁぅ……」
「シロウって呼べ。ほら」
「……。……ウさん」
「聞こえないぞ」
「し……シロウ、さん……」
顔を林檎のように赤くして、恥ずかしそうに名前を呼んでくる沖田に微笑む。やっぱりその名前に実感はない。ないが、まあ――悪くないんじゃないかと、そう思えた。
翌日『フィランソロピー』は行軍する。
果てなどないかのような長旅だった。移動を始めて二ヶ月は経っただろう。
様々な障害があった。といっても、平野を行く時は敵戦士団の接近なんてどうとでもなったが。
シータとアルジュナのインドパワーをぶちかまして殲滅、殲滅、殲滅だ。小さな山があり、その中に敵が待ち構えてい
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