グレートプレーンズだよ士郎くん!
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て無欠の姿勢。英雄然とした戦士で、好青年で、どこか尊大さのある気品。こうした輩ほど、物騒な地雷がある。アルジュナほどの英雄なら、その地雷は命に関わるだろう。
「どうしてこう……くせ者ばかりが身近に集まるんだか……」
嘆息するも、そうした『面倒臭い』輩は嫌いではなかった。変に都合がよくて、無欲で、正義感が強い。そのくせ自分の信念を固く持つ頑固者の方が嫌いだ。やはりワガママでひねくれ過ぎて真っ直ぐに見える奴の方が、味があって付き合いが楽しい。
それに。そうした奴ほど、一度心を開いてくれたらこれ以上なく頼もしく、信頼に値するようになる。アルジュナもその手のタイプだろう。俄然、仲良くなりたいとも思う。
いや仲良くならねばならない。円滑なコミュニケーションは、マスターとサーヴァントには不可欠なのである。鉄則だ。
――『マハーバーラタ』で、呪いに雁字絡めにされた宿敵カルナを射ったアルジュナは、戦後に有り余る財と権力を手に入れるも、その全てを投げ捨てて兄弟達と隠棲した。彼が何を思ったのか……。あれほど誇り高いなら、相当の自責の念がありそうだ。
戦士としての自信がある。――故に。不死身とされるカルナが、その力の源泉である鎧を剥ぎ取られ、呪いに縛られ、戦車を操る御者を計略で操り、無防備な所に矢を射ち込んだ結末は悔しいだろう。
何せそこまでしてもらわねば、アルジュナはカルナに勝てないと周囲に思われていたという事である。屈辱的だったはずだ。尋常な決着をと願っている筈だ。
授かりの英雄と呼ばれている。生まれ、環境、友、伴侶。あらゆるものに恵まれ、レールを敷かれ、そう在る事を期待されて生きて――まあ、現代の富裕層の子供にありがちな、鬱屈としたものを懐いていても不思議ではなかった。
「ま……なんでもいいさ」そう呟く。
俺を、俺達を助けてくれたのは、施しの英雄カルナではなくアルジュナだ。人間は現金な生き物で、実際に命を救ってくれた相手の方が大事に思える。
アルジュナが俺達の危機に間に合ったのは、恐らくマーリンのお蔭なんだろうから、彼にも感謝しなくてはならない。マーリンがいなければ、変身したクー・フーリンを撃退出来たか怪しい。
またいつか会おうと彼は言った。その時は歓迎させてもらおう。そしてこき使ってやりたい。クー・フーリンをも惑わして、どこかにやってしまった力量は大いに頼りにしたかった。
「マスター……」
「ん? ああ、お春か。どうした?」
密かにアルジュナお友達化計画の草案を練っていると、何やら申し訳なさそうにしながら、おずおずと沖田が話しかけてくる。
アンドロマケはどこかに繋いでくれたのだろう。ちらりと視界の隅で、クリストが両手を地面について泣いていた。シータがすまなさそうにしながらも、そろそろ
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