人類愛の黎明
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ルスター縁の宝具は無力化出来るのか!?
いや、カラドボルグだからこそかもしれない。
クー・フーリンはゲッシュによって、アルスター縁の者がカラドボルグを使っていれば、一度敗北しなければならない。しかしジャックはアルスターの人間ではなかった。
故にクー・フーリンが敗北してやらねばならない理由はない。それに、所詮は投影宝具。威力からしてオリジナルとは比べるべくもないのだ。
カラドボルグはジャックが使う限りクー・フーリンには無力。その事実を即座に織り込んで、選定の剣を投影して弓に番える。
その様をクー・フーリンは横目に見ていた。彼の魔術師としての才覚は、戦士としてのそれを超えている――たった一度見ただけで、ジャックのそれが投影魔術に似た何かであり、宝具を投影して射撃を行えるのを見抜いた。
瞬間、凶獣の中で、ジャックは取るに足らない『雑魚』ではなく、明確な『敵』に昇格を果たす。
クー・フーリンの標的が変わる。所詮は人間、後回しにしても楽に殺せると判断していたのが、自身に通じる武器を持つのなら話は別だ。細く鋭い針のような殺気がジャックを貫く。来るか……! 選定の剣を口に咥え、黒弓を消して双剣銃を投影し、転瞬――凶獣の姿が掻き消える。
限界まで強化していた手が砕け、腕が折れる衝撃。双剣銃もまた一撃で破損した。槍の一撃極まれば、神さえも殺すそれ――左後方からの大気に風穴を空ける刺突だった。
防げたのは奇跡ではない。敵としてクー・フーリンと戦い、仲間としてクー・フーリンと共に戦ったが故に彼の槍について知悉していたからこそ防禦に成功したのだ。意外そうに目を細めるクー・フーリンの反応から確信する。この凶獣はジャックを知らない、と。
しかし、見えなかった。クー・フーリンの動きが肉眼でまるで捉えられなかった。彼が意外そうにしたのはコンマ数秒のみ……。翻る二撃目の槍がジャックを殺すだろう。両腕は砕けた。どうして防げる、どうしたら躱せる。故に沖田が仙術の域の歩法で割り込んだ。クー・フーリンの脇腹を穿つ剣の切っ先。
それを寸での所で浅い傷を作るだけで躱し、クー・フーリンは鬱陶しそうにルーンを撒こうとして――それをジャックが妨害する。改めて黒弓を投影する鉄心の男の腕は再生されていた。聖剣の鞘による復元ではない、それでは間に合わない。砕けた腕の中には添え木代わりの鉄剣があった。力を込めるだけで激痛が奔るが、そんなもので鈍る男ではない。鉄心の男は口に咥えていた選定の剣を素早く弦に番え、クー・フーリンに目掛けて射ち放ったのだ。
ルーンで結界を作り、沖田やジャックを閉じ込めるつもりだったのだろう。しかしそうはさせない。
黄金の剣閃が奔る。クー・フーリンは舌打ちして後方へ高々と跳んだ。選定の剣を躱しながら、凄まじい勢いで魔力が充填さ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ