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人理を守れ、エミヤさん!
人類愛の黎明
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てジャック達を迂回して走っていく。ジャックは自身が殴り飛ばした兵士の胸ぐらを片腕で掴み、引き摺り起こすとその額に頭突きして至近距離から睨み付ける。その隻眼の迫力に気圧された男に、彼は端的に問い掛けた。

「何があった?」
「ひ、ひぃ、」

「……何があったッッッ!!」

「ヒィィッッッ!? ば、化け物です! 化け物がいきなり砦の中に!? 槍を持った化け物が!?」
「――中の物資は?」
「あ、あ、あります! ありますぅっ!?」
「……行け」

 兵士を突き飛ばして、ジャックは険しい顔で思案する。鼻血を吹き出している兵士はカーターの方へ逃げ去っていった。
 此処までの行軍で、あらかたの食料はなくなっている。此処を避けて進もうにも、餓死は必至だろう。此処は避けては通れない。
 しかし、あの砦には案の定、敵サーヴァントがいるようだ。そして目撃証言によると、槍を持っている。槍……ランサーか。いやライダーかもしれないし、バーサーカーかもしれない。ヘクトールのように槍が剣になったり、剣が槍になる武器を持っている可能性もあるから、あくまで槍兵の可能性が高いというだけの事だが。

 なんにしろ砦の中に入るのは迂闊だ。ジャックは二個分隊に銃撃態勢を取らせる。そのまま待ち構えた。しかし……一向に動きがない。沖田を一瞥した。

「春、中の様子を探ってこい。あくまで斥候だ。アサシンとして行け」
「承知」

 沖田の姿が消える。霊体化したのではなく、気配を遮断したのだ。そのまま彼女が戻ってくるまで待機していると、沖田は何事もなく戻ってきた。
 怪訝そうに彼女は報告してくる。

「マスター、中には誰もいません」
「生存者は?」
「……五百名ほどの死体があっただけです。物資などは手付かずでした。先にいた彼らもここに来たばかりなのかもしれません」
「……」

 幾らか殺して、満足して帰っていったのか……?
 いや、そんなはずはない。敵は必ずいる。ケルトは敵とした者を鏖にしているのだ。ここに生存者が多数いるのに、逃げる理由は見つからない。サーヴァントが二騎いるからと、尻尾を巻いて逃げ出す惰弱さとは無縁だと考えるべきだ。
 ならば沖田が発見出来ないとなると、敵は暗殺者? それとも宝具か、魔術による隠密を行っていると考えるべきか。

「ヘルマン、カーターとシータに伝令だ」
「は!」

 砦の様子と、厳戒態勢を敷けとの報を持たせ、アンドロマケにヘルマンを乗せる。乗馬の心得はあるらしいとは聞いていた。
 アンドロマケはやや不満そうにするも、ジャックはその首筋を軽く撫でてやって走らせる。

 どうする、と思考を回す。このまま二個分隊を率いて砦に入るか? しかし十中八九罠だろう。避けては通れないとはいえ……釣り出すか? だがどう
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