覚悟を決める時だジャックさん!
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らす。するとその血は多数の戦士を象っていった。生前の女――コノートの女王メイヴが取り込んだ、遺伝情報から精製された戦士である。
数にして数十、しかし払い落とされた血の滴は沼のように床に広がり、さらに多くの戦士達を産み出していく。メイヴは精製された戦士に鞭を撃ち、早く出て行くように命令を下した。いつまでもこの場に留まられたのでは、彼女が一滴の血で産み出す数万もの戦士で溢れ返ってしまうからだ。
その光景を、玉座に座す王は頬杖をついて眺めていた。玉座に寄り掛かる女に無機的な一瞥を向ける。
「どうした」
端的な、飾り気のない音の羅列。戦闘以外へのあらゆる感情を削ぎ落とした故の、心底関心のない問い。
本来なら無視する所だが、狂王は死の棘が如き魔槍を握りしめていた。――戦の匂いを感じたのだ。
その身を魔獣の如くに変質させた、凶獣の躰。強靭な肢に絡み付くのは海獣クリードの死の棘。尾骨より生えた丸太の如き黒い尾。黒ずんだ魔槍を杖のように床につき、邪気すらない無情な殺気を滲ませている。
メイヴはそんな愛しの狂王に陶然として寄り掛かるも、鬱陶しげに押し退けられる。いけず、と不満げに唇を尖らせる様は――メイヴが虐殺を繰り広げる、吐き気を催す邪悪である事を感じさせない無垢なもの。
メイヴは気のない狂王の対応に頬を膨れさせるも、愛しの男の問いに答えるべく身を寄せる。
「ほら私の兵隊って、私から生まれてるじゃない?」
「……そうだな。で? 長々と話すな、結論だけ言え」
「急かさないでよー。ま、そういう無愛想なとこもいいんだけどっ」
「……おい、メイヴ」
「わかってるってば! 結論ね、結論。えっとぉ、兵隊が死ぬと、私はその子達の死んだ場所が大体分かるのよ、数は正確にね。で、聖杯預かってるのも私だしこれで喚び出したサーヴァントの生死も分かるの。それでさ、聞いてよクーちゃん。マックールとベオウルフ、死んじゃったみたいよ」
「――ほう? マックールの小僧がか」
ぴくりと狂王は反応を示す。
生前の死後の生後……複雑な因果を経て、時代の異なる英雄クー・フーリンとフィン・マックールは互いに面識がある。直接矛を交わした事はないが、大した逃げ足だった。武勇のほども伝承が証明している。そのフィンが、逃げる事も出来ずに死んだというのだ。
興味はなくとも、それなりの敵が存在するのは確かであり、自身が出向いて殺さねばならない存在かと狂王は思う。
「そうよ。マックールは生理的に無理だから死んでもよかったんだけど。ベオウルフはねー……折角イイ男だったのに。勿体ない……ちょっと惜しいわ」
「諦めろ。死んだ奴はどうしようもねぇ。それに仮に奴が生きていたとしても、奴はテメェに興味なんざ欠片も持っちゃいなかった」
「むっ。……ま、いいわ
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