覚悟を決める時だジャックさん!
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それまで体力を温存させておくだけで、彼女の存在もまた欠かせない。
「撃ち方構え。指示あるまで待機。――シータ、いつでも撃てるな?」
「はい」
猛然とケルト戦士団が迫り来る。難民達が恐慌を来しそうになる中、俺はシータに告げる。撃て、と。
「ラーマ様……力を貸して――」
距離一千。シータは囁き、紅蓮の神弓『追想せし無双弓』を構える。そしてその小さな手に現したのは同じく紅蓮の大矢。それこそは大英雄ラーマの矢。
彼が魔王ラーヴァナを倒す為に、生まれた時から所持していたとされる不滅の刃だ。魔性の存在を相手に絶大な威力を発揮する対魔宝具だが、神弓によって放たれるそれは対軍の火力を発揮する。
鈴が鳴ったかのような可憐な声が、その宝具の真名を紡ぐ。
「『羅刹を穿つ不滅』」
本来の担い手、ラーマの名を冠した宝具が凄まじい熱量と共に投射される。
神弓より放たれたそれは、さながら大地を削る光輪の稲妻。聖焔を形取る、凄絶な浄化の裁き。ケルト戦士団に回避する余裕すら与えず、一瞬にして着弾したそれがいとも容易くケルト戦士団の過半を葬り去る。
誰もが唖然とする。騒然とした。華奢な乙女が齎したとは思えない大破壊。放たれたにも関わらず飛翔して手元に戻る不滅の刃。シータに俺は言う。
「魔力を回す。第二射、射て」
「『羅刹を穿つ不滅』」
ケルト戦士団が決死の形相で迫ってくる。そこに更に不滅の刃が射ち込まれた。
一万はいた戦士が、僅か数百の残党となる。俺は苦笑しながらも、兵士達に。
「残飯を平らげるとしよう。撃て」
片手を上げ、振り下ろす。放たれた銃弾の壁が、辛うじて『フィランソロピー』に肉薄しようとしていた戦士達に浴びせられ――それで、呆気なく戦闘は終了してしまうのだった。
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「んー……なぁんか、やな感じね」
何処の城か、華を飾るには無骨な御座。しかしながらその華には、味気ない玉座を華やかにせしめる格があった。
下着にしか見えない白い衣装を纏った女は、その端整な眉を落とし、その根を中心に寄せている。愁いに翳ったかんばせは、清楚であり無垢なもの。男として生まれた者ならば、誰しもがその心の棘を抜き取ってやりたいと渇望するだろう。
しかしその性根は蛇蝎の如しである。淫蕩に耽り、悪辣を成す、女を構成する美々しき外面的要素となんら矛盾しない人の倫理を逸脱した破綻者だ。
彼女は指先をナイフの切っ先で浅く斬り、ぷくりと浮き出た血の滴を、無造作に腕を払って指先から散
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