覚悟を決める時だジャックさん!
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も躊躇うものなどない。可能だと判断出来たのなら――無理をして大陸軍に合流しようとする事はなかった。
『フィランソロピー』に安住の地を。そこを防衛して、人々を集め、兵士を鍛え、仲間を募る。兵士を特殊部隊並に鍛え、彼らを使って各地に点在しているだろうカウンター・サーヴァントを探す事も出来る。
その間にか、或いはその後にか、現地の勢力と接触する機会は必ず出てくるだろう。
「……グレートプレーンズ」
「?」
「ロッキー山脈の東側と中央平原の間を南北に広がる台地状の大平原――北米の穀倉地帯だ。そこに進路を向ける。その地を俺達の拠点とするぞ。カーター!」
意思を固める。指導者なんて柄じゃないが、やってやろうじゃないか。
呼ばれたカーターが逞しい笑みを浮かべた。目的がより克明に見えたという顔。沖田とシータも淡く微笑んだ。
「は!」
「その地に城塞はあるか?」
「あります。案内も可能です」
「よし。もうすぐ夜が明ける、すぐに発つぞ」
「了解っ。休憩中の部下や難民の者達を起こしてきます」
「ああ。……エドワルド」
「は」
「シータの服を繕ってやれ」
了解ですとエドワルドは半笑いで敬礼した。
シータは首を傾げる。どうしてですか? そう問われ俺は苦笑する。ベオウルフにやられたんだろうが、服が破れてるじゃないかと。するとシータは言った。
別に破れてません、と。……え?
元々こんな格好です、と。……そうなんです?
それは……なんというか。前衛的な服装ですねと濁すしかない。てっきり戦闘で破れたんだとばかり思っていたが、どうやら違うらしい。流石はインド、俺の理解を超えたセンスだ。これからは「インド!」を挨拶にしようかと混乱しかける。
なんであれより現実的な目的が定まったのはいい事だ。俺は牽かれてきたアンドロマケに飛び乗り『フィランソロピー』を率い、行軍を再開する。
すると少し進むと、すぐに前方へ敵影を発見した。ケルト戦士団、数は一万。その報を告げると悲愴な緊張が走る。しかし、俺は朗らかに指示を出した。
「止まれ。じっとしていろ。我らが戦場の女神、砲台のシータの力を見せてもらおうじゃないか」
シータを見る。子供が黒衣の軍服を着ているようなアンバランスさがあるが、それに可笑しさは感じられない。凛とした眼差しでシータは頷き、その手に神弓を顕す。
「カーター、エドワルド。中隊前へ。討ち漏らしを撃滅する。射撃態勢を取れ」
「は!」
先頭に進み出たシータの後ろに、迅速に移動して隊列を組む兵士達の背後で距離を測る。
馬上から接近してくる敵戦士団を見据えた。横にいる沖田を一瞥する。今回は出番はないぞと告げると、沖田は反応に困って曖昧に笑った。しかしいざという時の決戦力を持つのは沖田だ。
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