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人理を守れ、エミヤさん!
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いうもの。だがな、完璧な法というものは存在しない。必ず抜け道はある」

 例えばだ、と俺は思い付くままに例を挙げた。

「シータかラーマ、どちらかが意識不明の状態に陥っていたら、顔を見たり触れたりするぐらいは出来るんじゃないか?」
「……それは、多分可能です。だってそれは、再会できたという事にはなりませんから」
「そうだな。それは『再会』ではなく『発見』だ。そんな感じで、本人同士が遭遇したという自意識がなければ呪いは発揮されない。お前に掛かっている呪いのトリガーは『両者が互いを認識すれば』発動する類いなんだろう。片方が眠っていれば顔を見れるし触れる事もできる。強固な呪いほど、逆に抜け穴を見つける為の粗は出てくるものだ」
「……つまり、なんですか?」
「『片方に意識がなければ発動しない』のなら、発想を逆転させてしまえ。結論を言うと『片方が死んでいれば呪いは発動しない』わけだ」

 意味が分からないと首を捻るシータと沖田。俺は魔術に造詣が浅い二人なら仕方がないかと苦笑する。

「つまり、シータ。お前の状態を偽る。宝具なんざ必要ないんだよ。礼装で事足りる。俺が世界を巡ってる時に目にした魔術師の礼装……追っ手の追跡を誤魔化す為に、生命反応を消す短剣があった」

 言いつつ、飾り気のない短剣を投影する。

「これを持っていれば、所有者は『死んでいる』と判定される。所謂仮死状態だと見なされる訳だ」
「――」
「一流の魔術師ならこんなものがなくても似た真似は出来るだろうが、俺は三流だからな。道具に頼らなければ何も出来ない。ちなみにその礼装の欠点は、おおよその呪いや魔術探知を素通り出来る代わりに、生の視覚は全く誤魔化せない事だ。俺が魔術の探知で追ってきていると油断していた奴を、普通に目視して普通に殴り倒したよ。
 ちなみにお前の対魔力なら、ちょっと意識されれば簡単に弾かれてしまう程度のものだから、いい感じに無視しておいてくれないといけない」

 例えばアルトリアなどは、極めて高い対魔力を持つが、自身の意思などによって魔術効果を受け入れることが出来る。そうでなければマスターからの令呪や回復魔術なども弾かれてしまうだろう。
 それと同じで、シータ本人がこの……英霊からすればがらくたじみた短剣を受け入れてくれれば、彼女は魔術や呪いには『死んでいるモノ』として判定される。『離別の呪い』はそうした抜け道があるだろう。

「……ほんとうに、私のこの呪いにも、効果はあるんですか?」
「ある。神秘の世界の鉄則で、神秘はより大きな神秘に塗り潰されるが、呪詛の類いはある意味魔術よりも厳格な現象だ。『こういうモノ』と定めたものには絶対に譲らないが、その線引きに抵触しない抜け道には意外と無力なんだよ。法律と同じでな。現に『片方に意識がなければ顔を見
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