卑怯卑劣は褒め言葉だねジャックさん!
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差し伸べた。
「俺はジャック、『人類愛』という弱小団の領袖をやっている。お前の名を聞かせてくれないか?」
少女は凛とした眼差しで、その小さな手を俺の手に重ねる。握手を交わし、彼女は俺の瞳を真っ直ぐに見据えて応じてくれた。
「私は、シータ。コサラの王ラーマ様の妻……だった者です」
「シータ? コサラ……ああ『ラーマーヤナ』の……」
名前だけはなんとか分かったが、実を言うと『ラーマーヤナ』については余り詳しくはなかった。
というのも、二大叙事詩であるもう片方にばかり興味が引かれ、そちらばかり読み耽っていたからだ。勉強不足だなと苦笑する。しかしまあ、概要だけはなんとか覚えていたが。
それにしても、シータは肌の露出が多い。ベオウルフとの戦いで服が破れているのだろう。さりげにコートを投影してシータに渡した。
首を捻られ、小脇に抱えられる。ああ……俺の気遣いが……。
「はい。しかし英霊としての私は『ラーマ』でもあります。通常の聖杯戦争では私かラーマ様が『ラーマ』として現界する……そういう存在です」
彼女の言葉に、気を持ち直した俺は納得する。
シータの纏う霊格は極めて強大だ。しかしそれに反して余りにか弱い印象があるのは、ラーマとしての霊基を持つが、同時に戦う力の弱い存在だからなのか。
ラーマと同じ性能はある、しかし戦いとなったら、それこそ格下の霊基にも遅れを取る。そんなアンバランスさがシータを構成している。
二つの存在が同じ座を有する。稀な例だ。という事は、シータがいる以上ラーマ本人はいないという事になる。
「いえ――ラーマ様はいます」
「?」
「私には分かるんです。この地に、ラーマ様がいるのが」
「そうか」
感じると言われても俺には全く分からない。しかし同じ座を共有するシータだから感じられるのか。
しかし朗報だ。あの頭がおかしいほど規模のデカイ叙事詩の英雄がいる。シータがいるなら仲間になってくれるだろう。これほど心強いサーヴァントはあまりいない。そう溢すと、シータは顔色を曇らせた。
「……私達は、会えません」
「なんでだ?」
「呪いがあるんです。『離別の呪い』が」
曰く、ラーマはその生前の行動によって、魔猿バーリの妻に掛けられた呪いがあるらしい。死して英霊となってもなお、彼らの身を縛り続ける呪いは、効果が薄れる事はない。在り方としては沖田の持つ病弱のスキルと同じで、聖杯ですらこの呪いを破棄させる事は出来ないだろう。聖杯で呪いを消すには、そもそもそんな呪いに掛からなかったという過去改竄を行うしかないが、その場合今のラーマの人格にも改変を来す事になる。
――サーヴァントとして召喚される場合に彼と彼女は『ラーマとシータは「ラーマ」という英
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